生産工学部では英語を教養科目ではなく基盤科目と位置づけています。基盤科目とはどの専門課程に進んでいったとしても、その学問の基盤となる知識を身につけ、活用できることを目標とする科目群。工学系の学部では数学や物理など理系の基礎科目が中心となりますが、英語をここに組み込んでいるのは、生産工学部の大きな特徴です。英語に苦手意識を持つ学生が多い工学系。しかし、グローバル化が著しいこの分野を目指す学生に、必要な英語力を身につけさせるのは大学の責任でもあります。国際的なプロジェクトも増え、海外の人たちとチームを組んだり、パートナーシップを結ぶことも稀ではありません。

小さな工場であっても、突然海外からオファーが来たり、外国人の人材や研修員を招き入れることになったり。相手が英語圏出身者でなかったとしても、共通のコミュニケーションツールとして機能するのは、やはり英語しかありません。そういった場面で実践的に活かせる英語力を身につけてもらうために、私は「教えない授業」を目指しています。私が答えを教えるのでなく、学生が自分で考え、自分に必要な学びを見つけていく授業です。問題を解いて答え合わせして終わり、でなく、ある例文や対話を取り上げて、それを参考に自分の考えを伝えてみる。その時持っている能力をフルに使って、どこまでコミュニケーションがとれるか実践してみる。そうすることで自分の伝えたいこと、いまの能力では伝えられないことがわかり、目標が生まれ、そのために必要な学びが見えてくる。その成長過程を責任を持って見届けることが私の役目であり、喜びです。

※記載されている学年は取材当時のものです。

小学生の頃から聴くのは洋楽、観るのは洋画ばかり。
海外の文化に憧れを抱いていました。大学選びは英語をしっかり学べることを第一に、それ以上の技術的な能力も身につけられる生産工学部へ。洋画の影響で映像への興味も強かったため、プログラミングやCGアニメーションの技術を身につけたいと考えました。
国籍を越えた協働の機会が増えていくこの分野、英語力はますます欠かせないものに。特に技術面では、通訳を入れるより自分の声で伝えるほうが、円滑に仕事が進むはず。ちょうど入学の年に、世界で活躍するエンジニアの英語力やビジネススキルを鍛える特別プログラム”Glo-BE”が始まり、迷わず受講しました。

Glo-BEには、ただ講義を聞くだけの授業はほとんどありません。自分で考え、自分で取り組む。正直、初めの頃はまわりの学生に圧倒されました。情報収集力、プレゼン能力。自分に足りないものを痛感させられる日々。シアトルの語学研修でも、いろいろな国の学生たちが積極的に意見を出しあう姿を見て、私もそうありたいと願いました。
学生たち、多くの先生方、いろいろな人から影響を受ける中で、最も大きいと思えるのは横田先生の存在。Glo-BEの英語の授業で、学生の学習管理などを担当されています。知識以前に、どこから考え始めてどう進めていけばいいのか、一人ひとりと同じ目線で学び方から教えて下さる。だから、何でも相談したくなる。
さらに、専門的なことは各学科の先生が真剣に向合って下さり、大学院生のティーチングアシスタントも優しくサポートしてくれる。気がつけば、多くの人の支えがあったからこそ、こうして今の自分があるのだと思います。