母親が小学校の先生だったこともあり、早くから教員を職業として意識していました。将来の夢として、はっきり自覚したのは中学3年の時。高校進学が早く決まったため、担任から他の生徒の勉強を見てやってくれと頼まれました。「秋葉は教えるのがうまい」と評価されたことが強く印象に残っています。

高校に入ると化学に夢中になり、「この分野で何か成果が残したい」と研究職にも興味を持ちはじめました。2つの夢に揺れる中、生産工学部を選んだのは自然な流れ。先端の研究に打ち込めると同時に、教職も取れる。そして何より魅力を感じたのは、生産実習というインターンシップが全員に課せられていたこと。どちらの道へ進むとしても、企業を知り、社会とのつながりを感じるのは貴重な体験。多くの視野を持つことができ、世界が大きく広がります。

その機会が全員に与えられるというのは、すごいことです。それだけの企業を、先生が必死で集めなければならないわけですから。ここに、生産工学部の面倒見の良さが表れています。結果的に、私はそこに感化され、教職の道を選んだのかも知れません。2年生の時に受けた授業がおもしろく、その先生の研究室に入りたいと思い、大学院まで研究の道を進みました。

しかし研究内容以上に惹かれたのは、学生一人ひとりに対して教育熱心な先生の姿。いまもその姿を意識しながら、高校生たちに化学を教えています。私が実感した生産工学部の学びの楽しさや熱心な教育姿勢は、もっと広く伝えるべきもの。小中学生に向けた実験教室や高大連携授業など、いつか私もその架け橋になれたらと願っています。