RESEARCH

地域連携研究プロジェクト

「地域生活に安全・安心を与えるための建造物の高耐震化・再生化技術とヘルスモニタリング技術の応用に関する研究」

研究概要

わが国は有数な地震多発国であり,尊い人命や住宅などの貴重な財産を損失する地震が昨今でも発生している。また,地球規模のCO2削減課題を始めとした環境問題が顕在化しており,有限な資源の有効活用のための建設資材の再生化技術の開発は急務である。本研究では,千葉県で主に事業活動を展開している企業及び地方公共団体と密接に連携して,地域生活に安全・安心を与えるための建造物の高耐震化・再生化技術の発展とヘルスモニタリング技術の応用に関する研究を推進し,その結果として「千葉5S(Safety, Security, Stability, Save and Sensing)モデル」を確立し,それを全国に展開することを目指している。また,公共事業の削減により経済的に厳しい状況にある地域の土木,建設,各種埋設管の工事業者が,従来型でなく,本研究の成果である付加価値の高い技術で新たな事業を展開することによって,地域経済の活性化に大きく貢献することも目的としている。

本研究では,研究目的に沿って成果を必ず達成し,その成果で地域経済の活性化に寄与するために,学内外の研究者を次に示す4つのグループに分けて研究を推進する。

研究グループ1 UFCおよびCFを用いた公共構造物の部材の安全性と再生化技術に関する研究
研究グループ2 経年戸建住宅及び各種機械用回転軸の高耐震化技術の発展と地下埋設パイプの健全性評価技術の確立
研究グループ3 再生骨材とごみ溶融スラグを利用した鉄筋コンクリート建築構造物の再生化技術の開発
研究グループ4 ヘルスモニタリング技術の建設構造および地下埋設構造物への応用開発  高耐震化のテーマではグループ1と2が,再生化のテーマではグループ3と1,2が,ヘルスモニタリング技術の応用に関してはグループ4と1,2がそれぞれ緊密に連携して研究を推進し,6ヶ月毎の会合で4つのグループ間で相互評価を行なう。

研究テーマ

研究グループ1

UFCおよびCFを用いた公共構造物の部材の安全性と再生化技術に関する研究

千葉県および近隣地域のコンクリートを主材料とする道路・鉄道・空港などの交通施設は,高度経済成長期を中心に整備されたが老朽化が進むと同時に,自動車や列車などの走行振動を受けて疲労劣化が急速に進行している。また,海岸線付近に建設された公共構造物は疲労劣化と併せて塩害作用を受け,コンクリートの剥落,鉄筋の錆などが発生し,社会問題となっている。一部の交通施設では、耐震補強および劣化に対する補修・補強が実施されているが,2次補修・補強が重要な課題となっている。一方,これらの交通施設は,供用後の維持管理も含めたトータルコストの縮減を目指した新材料および新構造の開発が進められている。そこで本研究グループ1では,本学部で開発した本邦唯一の「走行振動試験装置」を用いて,鉄筋コンクリート部材の走行振動荷重および塩害作用による劣化をモニタリングすると同時に,新材料である超高強度繊維補強コンクリート(UFC),炭素繊維(CF)を用いた適切な補修・補強法を開発する。また,UFC,CFS,炭素繊維ロッドを用いたコンクリート構造の開発と,これらの新材料を用いた構造物の耐荷力性能を評価するとともに,次世代の補修・補強方法についても明らかにする。これらの新材料・新工法が域内の経済活動を活発化させて住民に安全・安心を与えることを目的としている。

研究グループ2

経年戸建住宅及び各種機械用回転軸の高耐震化技術の発展と地下埋設パイプの健全性評価技術の確立

千葉県および近隣地域のコンクリートを主材料とする道路・鉄道・空港などの交通施設は,高度経済成長期を中心に整備されたが老朽化が進むと同時に,自動車や列車などの走行振動を受けて疲労劣化が急速に進行している。また,海岸線付近に建設された公共構造物は疲労劣化と併せて塩害作用を受け,コンクリートの剥落,鉄筋の錆などが発生し,社会問題となっている。一部の交通施設では、耐震補強および劣化に対する補修・補強が実施されているが,2次補修・補強が重要な課題となっている。一方,これらの交通施設は,供用後の維持管理も含めたトータルコストの縮減を目指した新材料および新構造の開発が進められている。そこで本研究グループ1では,本学部で開発した本邦唯一の「走行振動試験装置」を用いて,鉄筋コンクリート部材の走行振動荷重および塩害作用による劣化をモニタリングすると同時に,新材料である超高強度繊維補強コンクリート(UFC),炭素繊維(CF)を用いた適切な補修・補強法を開発する。また,UFC,CFS,炭素繊維ロッドを用いたコンクリート構造の開発と,これらの新材料を用いた構造物の耐荷力性能を評価するとともに,次世代の補修・補強方法についても明らかにする。これらの新材料・新工法が域内の経済活動を活発化させて住民に安全・安心を与えることを目的としている。

研究グループ3

再生骨材とごみ溶融スラグを利用した鉄筋コンクリート建築構造物の再生化技術の開発

建設工事で発生するコンクリート塊から再生骨材を製造し,鉄筋コンクリート構造の躯体へ利用することで,建設構造物の形を変えた資源としての再生化を試みる。さらに,地元の公的機関である清掃工場から得られるごみ溶融スラグを再生骨材と併用し,再資源化された一般廃棄物の建設構造物への利用についても検討を行う。ごみ溶融スラグの建設構造物への利用に可能性を見出すことができれば,一般廃棄物が貴重な資源として生まれ変わり,廃棄物を発生させた地域内での資源循環型社会が形成され,連動して建設業など地域経済の活性化が可能となる。また耐震性能については,再生骨材やごみ溶融スラグを利用した建築構造部材の付着割裂強度などの耐荷力を基に評価を行う。

研究グループ4

ヘルスモニタリング技術の建設構造および地下埋設構造物への応用開発

CFRPは強度に優れ軽量であり,しかも耐食性が高い性質があることから,航空機や自動車などの構造材として利用されているばかりでなく,近年は建築構造物にも耐震性と耐久性を求めて利用されつつある。CFRPは衝撃により剥離やクラックが発生することがあり,安全性が高く安心できる建築構造物を確保するためには,CFRPのヘルスモニタリング技術の開発が必要である。CFRPはカーボン繊維束を織物状態にしたものであり,金属材料に比べると従来の非破壊検査技術をそのままCFRPに適用することは困難である。また,構造物では荷重によるひずみの計測が健全性の評価に有効である。本研究ではカーボン繊維および導電性ナノ粒子が内在するコンポジット材料の欠陥による導電性の変化を利用してCFRPのヘルスモニタリングを簡便に早く行う技術の開発・実用化と光ファイバーを建築構造物に埋め込み建築構造物のヘルスモニタリングを行う技術の開発・実用化を行い,地域産業の活性化を目指す。

※ 上記掲載内容は,プロジェクト実施当時のものです。

このプロジェクトの研究報告書