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学部長メッセージ

『不憤不啓』(憤せずんば啓せず)

論語にある孔子の言葉です。
直訳すると「自分で考えて問題を解決しようとする意欲がわかなければその者を教え導くことはできない」となりますが、「自ら知ろうとしない者に学びは成り立たない」とする、自己啓発の意味です。本学では、この言葉にあるように能動的に考え実践できる技術者の育成を目指しています。そのための特徴を図1に示します。EXPERIENCE(実体験)とLIBERAL ARTS(真の教養)がキーワードです。

EXPERIENCE(実体験)とLIBERAL ARTS(真の教養)

図1 生産工学部の「学び環境」

「考える材料を示すことが授業の役割」と考えています。世の中の大半の人は、エベレストに登頂するために必要な準備や手続きを知りません。それは「自分に必要だ」と感じていないからに他なりません。必要であると感じることができれば学ぶ意志が生まれます。つまり、大学の理念は、“学びたい意志の醸成”と“学びの方向の選択”の二項にあります。生産工学部は、功利主義の詰め込み型教育から脱し、学生一人ひとりの学びに向き合った学習環境を目指しております。具体的には以下に示します。

生産工学部で身につく力

生産工学部は、数ある工学教育の中でも「経営のわかる技術者」を育てるために、全体を見渡す力をつけるための学びを重視しています。ただ単に性能を追求するだけではなく、デザインや効率的な製造法、経済的な材料、全体コストや販路まで考えてものづくりをする。そういった広い知識と視野を持つ技術者として活躍することができるようになろうではありませんか。そうした力を育てるために他大学や他学部にはない生産工学系科目を用意しています。特徴的な教育の代表として実践的な職場体験を中心とした「生産実習」があります。
生産実習は一般的なインターンシップとは異なり単に職場見学や体験をするのではなく「事前学習・実習・事後学習・成果発表」とほぼ1年間にわたる取り組みです。事前学習では自己分析・企業研究・目的設定に始まり、最後には成果発表会・達成度の評価までを行っています。

分野の枠にとらわれない学科横断型・特別プログラム

これからの時代に求められる新しい仕事、職場、働き方に対応するためには、これまで長い歴史に培われてきた工学の分野も再編する必要があるのではないでしょうか。生産工学部は、これからの時代に応えるための学びの形として専門分野を超えた学科横断型・特別プログラムを提供しています。グローバル人材育成プログラム「Glo-BE(グロービィ)」や、事業継承者・企業家(さらには起業家)として活躍できる人材を育成する「Entre-to-Be(アントレトゥービィ)」、ロボットエンジニアを育成する「Robo-BE(ロボビィ)」、創造的な視点を持ってものづくりを学ぶ「STEAM-to-BE(スティムトゥービィ)」です。それぞれのプログラムは、所属する学科の枠にとらわれず希望することができ、社会のニーズに応えられる実践力とたくましさを持つ人材の育成を目的としています。この他にも学生時代の経験の豊富さが将来に役立つと考え、生産工学部では大学、学部、学科の垣根を越えて学ぶことができるさまざまなシステムがあります。

自己を高めて、チームで現場を動かす実践力を磨く

将来みなさんの「経営のわかる技術者」像を考えたとき、まずベースとなるそれぞれの専門分野の学問を確実に身に付けておくことが必要です。そのためには何のために学ぶのかを明確に理解し、そのうえで自己研鑽に努めてください。自己を高めることで他者の個性を理解すること、多様性を知って初めて、チームワークを組んで仕事をすることができます。社会構造が変わり、ものづくりにおいてもプロジェクト型(チームで行う)の仕事が増えている今、チームで働くということが常に考えておかなければいけないことの一つです。チームで課題解決するPBL(Project-Based Learning)の学びも多く取り入れています。また、現代の製品づくりには、女性の感性が大きな影響を与えていることも見逃せません。その視点を活かし、ものづくりの現場で活躍する女性の卒業生もたくさんいます。ですから、女子の皆さんにももっと、生産工学部でものづくりの世界に飛び込んでほしいと願っています。

意欲ある学生の成長のために

教職員はこうした学びの環境を充実させるために、学生の成長を思いながら常に努力をしています。学生目線で、学生の意欲に向き合う。それも生産工学部の大きな特徴です。郊外型のキャンパスであることも生産工学部の良い点です。のびのびとした環境でありながら、教職員と学生の距離が近く相談しやすい。それは多くの学生が感じてくれています。社会で働くということは、正解のない問いや予期せぬことに取り組むことです。そのとき自分で見て、聞いて、問い続けること。そうする中で自ら学ぶ姿勢も生まれ、自ら道をひらくことができます。日本でたったひとつの生産工学部の4年間で、人生の基盤となる自ら考える力と自ら学ぶ力を身につけてほしいと思います。私たちは、そういう意欲をもった学生を全力で後押ししていきます。

生産工学部長 澤野利章

生産工学部長 澤野利章