材料で人と建物を守る!

建築工学科 永井 香織

材料で人と建物を守る!

建築工学科 永井 香織

材料で人と建物を守る!

建物は、様々な建築材料から構成されている。建物を支える基本的な構造があり、その周りを多岐にわたる仕上材料が建物の構造を守り、人が居住する空間を快適にしている。その沢山ある仕上材料を建物の適材適所に選定するための研究開発が私のテーマである。材料は日進月歩で進歩している。材料の適正な評価と、建物に求められる新しい視点での材料開発と現場施工方法の開発を自分の目標としている。

歴史的建造物や超高層建物の維持保全

煉瓦造などの近代建築や200年以上の古民家再生には、当時の材料をどのように維持していくかが課題である。古い煉瓦の劣化の補修方法や昔ながらの左官や緑青銅板の再現方法など、当時の材料を用いたり、再現しながら補修方法を検討している。また、日本には60m以上の超高層建物が1250棟あり、世界では1000mの建物が計画されている。これらの建物を長寿命化させるためには現場でのメンテナンスが必要である。簡単に施工できない場所だからこそ求められる長寿命化材料、高所作業で必要になる施工計画や施工方法などを実現するために、汚れない外壁材料の開発や外壁の見え方、材料の使い方などを検討している。

レーザを用いた建築分野への応用

レーザ光は、材料にあたると光を吸収、反射し、孔あけや切断、ガラス化などの加工ができる。建築土木分野におけるレーザ活用研究は、ドイツやアメリカに次いで日本も専攻している。今まで行ってきたレーザによる岩盤掘削やコンクリート孔あけ、切断、石材の表面処理などの研究開発成果を活かし、新しい材料の開発や、現場での作業員不足の課題に対しての効率のよい新しい施工方法の開発を実施している。今までに全くない新しい発想で研究に取り組み、日本が世界より一歩進めるように貢献したいと考えている。

建築とは、全てが1点ものの建物として、多くの建築材料を使いながら、多くの専門家の知恵を結集し、多くの「人」が手作りするものです。工業化は少しずつ進歩していますが、建設現場では、まだまだ人の経験と管理によって造られています。これがまさに「生産工学」つまり、建物一つ一つを工学的に新しく産み出していることです。この作業には多くの建物に対する要求に対するアイデアと知恵、知識や管理が必要になります。社会における生産工学、私の研究では、建設分野における実用化を目指し、昔の知恵を学び活かし、経験をもとにした新しく産みだす技術開発に挑戦しています。

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