生命工学・リサーチ・センターの第2研究グループでは,日本近海の水質環境GISを構築するために,北緯50 度~25度,東経125度~155度を観測した衛星データをリアルタイムで受信し,受信した衛星データから自動的にChlorophyll-aマップを生成・アーカイブできる解析システムを構築しました。
論題: 水質環境をモニタリングするためのTerra・Aqua/MODISデータ解析システムの構築  
著者: 朝香 智仁,保坂 成司,岩下 圭之,大木宜章
雑誌名: 環境情報科学論文集
出版者・編者: 環境情報科学センター / 環境情報科学センター 編
巻号・年月日: 22 [2008]
ページ: 559〜564
ISSN: 0389-6633

 使用している衛星データは,1999 年12 月に打ち上げられた地球観測衛星Terra(EOS-AM1)および2002 年5 月に打ち上げられたAqua(EOS-PM1)に搭載されているMODIS (ModerateResolution Imaging Spectroradiometer)センサのデータです。

図1 MODISセンサは観測幅が2330kmと非常に広域なため,全球を対象としたモニタリングに適しているのが特徴で、主にエアロゾル、土地被覆、土地利用変化、植生、地表温度、噴火、海面温度、海色、積雪、海氷などを観測するために利用されています。

右図は,解析システムに導入したアルゴリズムの処理フローです。本解析システムでは、上方から順に処理が始まり、生データを処理する低次処理からchlorophyll-a データを生成する高次処理までを自動的に実行します。Level 0 file が生データ(図中の(a))にあたり、まず生データからLevel 1A file(図中の(b))が生成されます。Level 1A file からは衛星の軌道情報(図中の(c))を加えて、データの位置情報を格納しているGEOfile(図中の(b))とそれらのデータから幾何学的な補正を施したLevel 1B file(図中の(d))が生成されます。Level 1B file からは衛星の軌道情報と観測時の大気の状態および風向・風速などのアンシラリデータ(図中の(e))を加えて大気補正を施し、最終的な成果物であるLeve 2 lile としてChlorophyll-aマップ(図中の(f))が生成されます。


 この度、第2研究グループの研究成果物として下記に示す時系列の衛星画像を公開する「衛星画像WEB閲覧システム」を作成しました。画像のご利用に際しては「利用規約」にご留意下さい。(画像をクリックすると、研究成果がご覧頂けます)


■トゥルーカラー画像(L1B)
トゥルーカラー画像は、Level 1B fileから可視赤波長帯、可視緑波長帯、可視青波長帯のデータを取り出し、RGBカラー合成させて作成しています。トゥルーカラーの文字通り、人間が宇宙から地球を見た場合と同じ色づけになっています。



■ クロロフィル画像(L2)  
クロロフィル画像は、Leve 2 lile として生成されるChlorophyll-aマップをレインボーカラーによって色づけしています。Chlorophyll-a 濃度の0.01〜100mg/m^3(立方メートル)に対して紫色から赤色までのレインボーカラーを対数表示に従って当てはめました。
このため色調が赤色に近ずくほど、水質は悪化していると評価します。



■ 10日間合成クロロフィル画像(L3)
 10日間合成クロロフィル画像は、ほぼ毎日生成されるChlorophyll-aマップを各月の1〜10日、11日〜20、21日〜30日(or 31日)に分けて合成させ、レインボーカラーによって色づけしています。10日間合成クロロフィル画像は10日間の平均値で構成されていますが、L2よりも全体的にクロロフィルの分布が判読しやすい画像になっています。 

利用規程