日本大学生産工学部研究報告B(文系)第56巻
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5050■■■■■■■■201510WFCFSFWMCMSMWBCB25201510SBA/OLWFCFSFWMCMSMWBCBSBA/OL■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■図7  科目初期において廊下側中列(SM)に着席していた学生の各期における着席位置と延べ着席回数(W:窓側,C:中央,S:廊下(スクリーン)側,F:前列,M:中列,B:後列,A/OL:欠席またはオンライン受講。)席回数は1.6回であり,中央後列とほぼ同じ回数であった。他のブロックでは窓側や中央の前列(同WF,SF)などにも着席しており,教室の前方への着席を志向していたことがわかる。中期では同ブロックへの着席回数が減少し,廊下側の中列(同SM)への着席回数が増加した。終期には窓側の前列(同WF)に着席する学生はいなくなり,同ブロックへの着席回数がやや増加したが,他のブロックの人数に大きな変動はなかった。科目初期に中央の後列に着席していた学生と同様,移動は比較的少なく,移動しても主に近くのブロックへの移動と考えられる。また,科目初期において廊下側前列に着席していた学生はGPA,人脈形成力とも低い傾向だった3)。したがって,廊下側前列が比較的落ち着く環境であり,着席位置を変えるストレスを避けていた可能性もある。4.3.3 廊下側中列科目初期において,廊下(スクリーン)側の中列に着席経験のある該当年次生総数は12名であった。これらの学生が科目初期,中期および終期において各ブロックに着席した延べ回数を図7に示す。該当学生は科目初期において同ブロック(図7,SM)に延べ18回着席していた。ブロックの平均着席回数は1.5回であり,中央後列と同じ回数であった。他のブロックでは中央の中列(同CM),窓側,中央および廊下側の後列(同WB,CBおよびSB)などにも着席していた。したがって,これらの学生は中方から後方の着席を志向していたと考えられる。中期では同ブロックの着席回数が減少したが,窓側,中央および廊下側の後列の着席回数も減少した。一方,中央および廊下側の前列(同CFおよびSF)や窓側の中列(同WM)の着席回数は増加したため,中,後方から前方に移動したことが推察される。授業評価アンケートを確認したところ,担当した教員の講義において教室内にマイクは入らな─ 6 ─(W:窓側,C:中央,S:廊下(スクリーン)側,F:前列,M:中列,B:後列,A/OL:欠席またはオンライン受講。)図8  科目初期に廊下側後列(SB)に着席していた学生の各期における着席位置と延べ着席回数かった授業が数回あったことがわかった。したがって,これらの学生は教員の肉声が聞き取りやすい前方へ移動したと考えられる。このトラブルは教室全体に影響しているはずであるが,今回検討した他の3ブロックでは廊下側中列のような着席位置の移動は認められなかった。終期になると同ブロックへの着席回数はさらに減少し,窓側の中列への着席回数も減少した。一方で,窓側や中央の後列(WB,CB)などの着席回数が増加し,着席志向が後方に移動したと推測される。終期では担当教員が著者に交代しており,スライドで使用しているフォントが4ポイントほど大きくなっている。教室内のマイクも機能していたことから,該当学生は教室後方でも講義内容が把握できると判断したと考えられる。以上の結果から,該当学生は授業の状況によって着席位置を大きく変更し,合理的かつ柔軟に対応していたことが推測される。4.3.4 廊下側後列科目初期において,廊下(スクリーン)側の後列に着席経験のある該当年次生総数は14名であった。これらの学生が科目初期,中期および終期において各ブロックに着席した延べ回数を図8に示す。該当学生は科目初期において同ブロック(図8,SB)に延べ21回着席していた。ブロックの平均着席回数は1.5回であり,中央後列と同じ回数であった。他のブロックでは窓側および廊下側の中列(同WMおよびSM),窓側や中央の後列(同WB,CB)にも着席しており,教室の中方から後方を志向していたと推測される。科目中期,終期では窓側の中列の着席回数が減少し,廊下側中列への着席回数が増加したが同ブロックへの着席回数は変わらなかった。したがって,同ブロックに着席した対象学生は科目を通じてほとんど同ブロック内に留まっていたと考えられる。科目初期に廊下側後列に着席していた学生は中央

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