日本大学生産工学部研究報告B(文系)第56巻
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■■■■■■■■■■■■うに移動するかを追跡する。したがって,定量的な議論には延べ人数ではなく実人数が重要である。両科目において科目初期に各ブロックに着席した学生の実人数を調査したところ,分析化学Ⅰでは9ブロック中,すべてのブロックにおいて着席した学生の実人数が10名以上であった。一方,環境分析学については12ブロック中,7つのブロックにおいて着席した学生は10名未満であった。したがって,本論文では分析化学Ⅰを分析対象科目とした。次に,授業の進行に伴う着席位置の移動を把握するため,科目中期と終期を追加して定義した。具体的には,分析化学Ⅰにおいて授業回として第6〜8回を科目中期,第11,13および14回を科目終期とした。いずれも,単元試験直前の授業3回という原則に準拠している。第12回授業を対象回としなかったのは,当該回に単元試験が実施されていたからである。分析化学Ⅰは2年次の専門教育科目であり,2022年度第2クォーター(6〜7月)に対面授業を原則として実施した。科目担当者は著者を含めた2名であった。本科目は1および2時限目に2クラス設置したが,直前に授業がなく,席取り競走が生じにくい1時限目を分析対象とした。15回の授業のうち,第1回授業でガイダンスと講義,第4,9および12回授業で単元試験と講義,第15回授業で単元試験と振り返り,その他の回は講義と演習を実施した。着席する座席は試験を実施する授業回は指定し,実施しない授業回は自由とした。成績は演習点と単元試験により決定し,中間,期末試験は行わなかった。講義と演習については新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者,あるいは体調不良者に対して事前申請によりZoomでの授業参加を認めた。講義では重要箇所を空白としたパワーポイントスライドのハンドアウトを資料として事前に配布した。配布は授業前にpdfファイルをGoogle Classroomにアップロードすることにより行った。加えて,対面授業の出席者に対しては印刷物を授業開始時に直接配布した。授業は担当教員がZoomを起動させた後,Zoom参加者のためにパワーポイントのスライド画面を共有するとともに,教室のスクリーンにスライドを投影して行った。このとき,対面授業の出席者についてはZoomの使用を認めず,スクリーンに投影されたスライドが見やすい位置に着席して受講するよう促した。講義は主にスライドの空白部分についてアニメーションを使って明示しながら内容を説明する方─ 3 ─(本論文においてブロックは縦列と前後列のアルファベットで示す。例えば,「WF」は窓側前列を意味する。図中右側に記載されている距離はスクリーン面に対して垂直方向のスクリーンからの距離。)法で進めた。演習では問題を対面参加者とZoom参加者に対して同時に示すため,問題をスライド画面で表示して専用用紙に解答させた。演習については得点がそのまま成績に反映されるため,スライドが見えにくい位置に着席している受講生に対してノートPCやスマートフォンを使用してZoomの共有画面から問題を閲覧することを許可した。Zoom参加者は解答をスキャンアプリで撮影し,pdfファイルとしてGoogle Classroomに提出した。一方,対面参加者は解答した用紙を直接教員に提出した。なお,科目初期は第1回授業の科目ガイダンス(約30分)のみ著者が担当し,その他はもう一人の担当教員が講義した。中期はもう一人の担当教員,終期は著者がそれぞれ講義を行った。3.2 使用教室および着席位置使用した教室のレイアウトを図1に示す。使用した教室は横13.5m,縦12.6mと横長である。新型コロナウイルス感染症対策のため,両教室とも3人掛け机の中央座席および最前列は着席不可とした。着席を許可した座席数は縦10列,横9列の90席である。スクリーンは廊下側の前面に設置されている。なお,補助的なサブモニターは教室内に設置されていない。スクリーンに投影した時のスライドサイズは横2.03m,縦1.52m(4:3,100インチ)である。コロナウイルス感染時に感染者がどの座席に着席していたかを把握するために,受講者には授業回ごとにGoogle Formを用いて着席座席の位置を登録させた。本論文も既報3)と同様,科目受講履歴のない当該年次受講者を分析対象とした。図1 使用した教室のレイアウトとブロック分け4.6m7.7m10.8m■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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