日本大学生産工学部研究報告B(文系)第56巻
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のまま選手村入村という流れが一定のパターンであったが,今大会の事前合宿は約2週間前からに縮小された。コロナ感染への危惧やケガなどの事情もさまざまであるが,選手によっては入村3日前に初めて合宿に合流するというケースもあった。事前合宿地である「味の素ナショナルトレーニングセンター」(NATIONAL TRAINING CENTER以下,NTC)への初日の入館に関しては,入館日前72時間以内のPCR検査での陰性が証明されて初めて入館当日のスマートアンプ検査(検査結果の判明まで2〜3時間の待機時間が生ずる)を受けることが可能となり,さらに当日の検査での陰性が確認されてからの入館許可となる。以降は毎日PCR検査を受けることが義務付けられた。NTC入館後は,選手・スタッフ全員が毎朝9:30に図1,図2のPCR検査キッドを口にくわえる情景が日常になり(図3参照),その様子は日に日に違和感を覚えなくなっていった。検査結果は,陽性の場合のみ当日の17: 00までに競技団体の担当者に連絡が入り,当局からの連図1 PCR検査キット図2 PCR検査キット─ 18 ─絡がなければ陰性ということになる。ここで陰性が証明されるとその日の滞在・宿泊,翌日の入館が認められる。ウエイトリフティングチームでは,代表選手の陽性が疑われ再検査となり,結果的には陰性であったというケースが一件あった。この再検査・結果判明までの時間はウエイトリフティングチーム内において今まで経験したことのないような不安感や強烈な緊張感が走った。一番安堵したのは選手本人であることはいうまでもない。この事前合宿地のNTCには,アスリートヴィレッヂと呼ばれる宿泊施設も付帯されている。このヴィレッヂの食事は緻密に栄養バランスが計算されており,バラエティーに富んだメニューがビュッフェ形式で三食提供される。それぞれにカロリー表示もされているばかりか常時待機巡回している栄養士に相談・指導を受けることも可能であり,自分に必要な栄養素・摂取量を効率よく適確に摂取することが可能である。炭水化物であれば,麺・米・パンから好きなものを選択でき(もちろん全てでも),タンパク質は魚や肉などそれぞれ数種類ずつ用意されており,その他副菜・小鉢も常時10種類前後あり,卵・納豆やヨーグルトは常設の他,スープ類サラダやフルーツ・・・といった具合に準備されている。サウナ設備や温度の異なる浴槽をそなえた大浴場,洗濯室,マッサージ室,ミーティング室,ラウンジなど生活に必要なものは全てそろっている素晴らしい施設である。本来,選手村入村まではここでの生活になるのであるが,ここでも人数の制限がされ,男女監督以外のコーチは付近のビジネスホテルでの宿泊となり,食事は弁当が配膳されそれぞれ個図3 口にくわえて2分間

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