まっている。これは,国際オリンピック委員会(International Olympic Committee,以下,IOC)よりかねてより指導を受けているにも関わらず,なかなか根絶できていない国際ウエイトリフティング連盟(International Weightlifting Federation,以下,IWF)に対するドーピング違反への制裁・戒めという側面もある。実際に競技自体の排除も議論されており,2028年ロサンゼルス大会での競技自体の排除の可能性が大いに残っている。なお,巨大化した五輪のスリム化を目指すIOCはアスリートの参加総数を2020年大会の11,092人から2024年大会は10,500人へ削減することを明言している。2.1 ウエイトリフティング競技のルール・体重別に階級分け(男女各10階級)されており,同じ階級内で記録を競う。・試合前に抽選番号が振られ,数字の若い方から検量や同重量の場合の第1試技を行う。・検量は競技開始2時間前に行われる。過不足があった場合には開始から60分の間で再検量が許される。・種目は「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」の2つがあり,それぞれ3回の試技を行い各種目の最高挙上重量の合計「トータル」で順位を競う。ただし,いずれかの種目で3回連続して失敗するとトータルは0kgとなり,失格となる。・試技には制限時間があり,基本的には1分,高校生の大会などは30秒であることが多い。制限時間内に膝より上まで離床できないとその試技は失敗となる。・試技の順番は申告した重量の低い選手から行い,同重量の場合は事前に抽選をしてある抽選番号に従う。バーベルは1kg刻みで増量できる。試技に失敗した場合は同じ重量で再度試技することができる。重量を申告した後でも2回まで重量変更が行える。重量変更を行う場合は制限時間30秒前のファイナルコール以前に行わなければならない。制限時間が30秒の試合では選手名をアナウンサーにコールされた時点で重量変更はできなくなる。同記録の場合は先にトータル記録を成立させた者が上位となる。・バーベルを頭上に挙げて静止し,3人の審判中2人以上の審判の「ダウン」の合図があるまで降ろしてはならない。降ろす際は身体の前面,また確実にプラットフォーム上に降ろさなければならな─ 16 ─い。3.1 選手選考システム前回大会(2016年リオデジャネイロ)までの選手枠獲得システムは,開催の前年及び前々年の世界選手権の団体戦において上位の各オリンピック委員会(National Olympic Committee,以下,NOC)から選手枠を分配する方式であった。IWFは度重なるドーピング違反への対応策を講じ,より多くのドーピング検査を実施するべく選手枠獲得システムを以下のように変更した。現在,世界のウエイトリフティング競技大会は男女各10階級での実施であるが,東京五輪は各7階級での実施となった。基本的に男女各7階級,計14階級に1階級14人ずつの196人ということになる。14名の内訳であるが,まず各階級ともランキング上位8名・各大陸(Africa/Asia/Europe/Oceania/Pan-America)1位・委員会推薦枠1名(開催国枠・普及目的で枠を未獲得のNOCに配分など)の⑧+⑤+①で14人となる。各階級のランキングの決定方法は,IWF独自のロビーポイント(世界記録に対する係数)獲得制を採用。1年半の選考期間を3つの期に分け,各期最低1回合計6回以上の出場が義務付けられた。各期の最高ポイントとそれ以外の最高ポイントの合計4試合分のポイントを合算しランキングを作成。各NOCにおいての最大枠は各階級1名,男女ともに7階級で最大4名であり,5名以上がランキングに入った場合の選手決定は当該NOCに一任される。全ての選考大会が終了し,5名以上ランクインした国より4名の選手の決定がなされランキングが決まる。実際,強豪国である中国においては10名以上が各階級の上位8位までにランクインしたのであるが,4名以外はランキングから削除されそれぞれ他のNOCの選手の順位が繰り上がることになった。日本チームは男子においては各NOCの最大枠である4名が8位以内のランキングに入ることができ,そのままその4選手が代表選手と認定された。女子は1名のみのランクインであったため3名の開催国枠を行使し,選手を決定した。開催国枠を使う際の選手の選考方法はあらかじめ取り決めがなされており,その基準をもとに3名の選手が決定した。このような作業を行い最終的に世界ランキングならびに全出場選手が発表されたのは,本戦を約2か月後に控えた2021年6月の下旬3.オリンピック競技大会(TOKYO2020)
元のページ ../index.html#18