日本大学生産工学部 研究報告B(文系)第51巻
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─ 18 ─分英作文合計18問を選択して作成した。事前テストは第3学期の9月の授業開始日に実施し,事後テストは本実践の終了日にあたる第4学期の1月の最終授業日に実施した。事前・事後テストの問題は同一であるものの,事後テストでは出題の順番を変更した。テストの予告はしなかった。所要時間は学習者が必要とする時間をかけられるように,テストを終了した学生から退室させるようにした。18問で平均25分を要した。結果を表2に示す。参加者46名の9月に実施した事前テストの正解率は38.4%,1月の事後テストでは57.0%であった。対応ありの両側t検定を行った結果,指導の前後の得点上昇は統計的に有意であった。効果量dは1.34となり,46名の学習者集団は事前・事後と比較して偏差値換算で13.4も高くなったことが示された。この結果から,SCoREを利用したDDLによる文法項目の指導はリメディアル教育の効果的な指導法として有用であることが示唆されたといえるだろう。指導前と指導後の得点上昇が高かった文法項目の問題例と正解率を表3に示す。wh- to doを使った問題は9月に46%だった正解率が94%へと上昇していた。接続詞のorを含む問題は17%から65%に正解率が上昇した。同様に,前置詞out of,副詞usually,代名詞that ofも大幅な得点上昇が見られ,18問すべての文法項目で知識の向上が見られた。2.2.2 DDLに対する学習者の評価SCoREを用いたDDLの実践授業に対して学習者がどのような評価を示したかを調査するために,独自に作成したSCoRE Usability(ユーザビリティ)アンケートを使用した。質問紙調査は,授業終了時に行われ,46名の参加者は各質問項目に対して,「強くそう思う(5)」から「全くそう思わない(1)」の5段階評価を行った。SCoREを使ったDDL文法学習に対する学習者の評価を表4に示す。5段階評価で4.0前後の評価が得られたことから,学習者がSCoREを使ったDDLに対して好意的かつ肯定的なイメージを持っていると判断できる。さらに具体的な意見を聞くために,「SCoREの良い表3 得点上昇が高かった文法項目の問題例と正解率文法項目問  題9月1月wh- to doI showed the woman (how) (to) (get) to Tsudanuma Station.46%94%前置詞 out ofJohn (went) (out) (of) the room. 37%87%接続詞 orHurry up, (or) (you’ll) (miss)the last train.17%65%副詞 usuallyMy father (usually) (comes) (home) before seven.20%74%代名詞 that ofThe population of India is larger than (that) (of) (America). 15%54%注.テスト問題は日本語訳に対応する適切な単語をカッコ内に補充する形式である。カッコ1つの正解を1点とした。表の正解率は各問題の文法項目で一番重要と考えられた単語(太字下線で示した語)の正解率を示した。表4 SCoRE のユーザビリティ評価質問項目平均値標準偏差1SCoREは使いやすい4.20.82SCoREは考えながら学習できる4.00.93SCoREは楽しい3.90.94SCoREは集中できる4.10.75英語学習に役立つ4.30.86直感的に操作できた4.30.77簡単にアクセスできた4.30.88ソフト画面のデザインは適切である4.30.69ソフトはサクサク動作した4.00.710これからもSCoREを使って英語を学習したい3.80.9表2 指導前と指導後の得点上昇事前テスト(9月)事後テスト(1月)効果量(d)平均値38.4%57.0%1.34効果量大標準偏差11.316.0

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