-10-20-30-40-50-60-70-8006.1 江戸風鈴(S-1)江戸風鈴(S-1)は,高さが68.7mm, 横幅が80.2mmある。厚さは上部,下部いずれも1.50mmで,縁部は1.30mm~1.50mmの幅があるが,モード解析では1.50mmに統一して分析を行う。素材はガラスで,密度は2.40g/cm3,ヤング率70.0GPa,ポアソン比0.22である。3DモデルをFig. 1に示す。また,周波数特性をFig. 2に示す。グラフは横軸が周波数(Hz),縦軸が相対音圧レベル(dB)である。ピークレベルが大きい基本周波数および倍音成分を図中のピーク(A)や(B)のように示し,それらの実測値(以下R値)およびシミュレーションによるモード解析値(以下S値),そして,両者の誤差をTable 2に示す。これによれば,R値とS値の誤差はいずれのピーク値も3%以内に収まっている。さらに各ピーク値に対応する振動形状をFig. 3に示す。これらは左から右へと振動形状の時間変化を表している。また,色は変形の強さを表しており,赤くなるほどその部位が元のモデルから変形しており,青が濃いほど変形が少ない。基本周波数であるピーク(A)は2548.2Hzであり,その振動形状は風鈴下部が縦と横に交互に伸び縮みする挙動を示す。約2.5倍音であるピーク(C)(6297.7Hz)と(D)(6462.5Hz)とは35.2Hzの周波6.結果および考察Fig. 2 Frequency Characteristics of S-1─ 11 ─Table 2 Peak Value of S-1Side viewView from aboveView from belowFig. 1 3D model of S-1リッドモデルでなくてはならない。3Dモデルを有限要素解析ソフトのANSYSを用いて固有値解析を行う。物体に力を与えるといくつかの振動が重ね合わせて発生する。それを一つ一つの振動に分解することがモード解析である。モード解析を行う際の各風鈴の密度,ヤング率,ポアソン比は,材料の一般的な数値を使用する。風鈴の3Dモデルを使ってコンピュータ・シミュレーションによるモード解析を行い,実際に測定した音と比較する。また,その時に共振周波数の挙動をアニメーションにより視覚化し,発音性状を検討する。なお,解析で求めた風鈴の下から見た振動形状は模式的に示したものであるため,実際には目に見えない程度の大きさの変形である。風鈴ごとにモデルの各寸法および使用されている材料の物性値を記載するが,風鈴の厚さは場所によって多少異なるので,風鈴の高さ半分から上部一点,下部一点(いずれもほぼ中央)および一番下の縁部分(以下,上部,下部および縁部と表記する)の3点における厚さと表面に装飾がある風鈴は装飾部分の厚さも記載する。
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