日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第58巻第1号
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KindS-1(江戸風鈴)PictureMaterialKindPictureMaterialIron4.実験で使用する風鈴5.解析方法Table 1 10 Kinds of Wind BellsS-2(津軽びいどろ風鈴)GlassGlassS-6(南部風鈴)S-7(南部風鈴)IronS-5(南部風鈴)IronS-10(小田原風鈴)BronzeS-3(有田焼風鈴)CeramicS-8(真鍮風鈴)Brass─ 10 ─S-4(伊万里焼風鈴)CeramicS-9(小田原風鈴)Bronze実験で使用する風鈴の種類と素材をTable 1に示す。実験に使用した風鈴は計10種類であり,それぞれ形状,素材の異なるものを使用する。S-1およびS-2はガラスの風鈴,S-3およびS-4は陶磁器の風鈴,S-5からS-10は金属の風鈴であり,S-5からS-7は鉄製で,S-8が真鍮製,S-9およびS-10は砂張(青銅)製である。南部風鈴(S-6)および南部風鈴(S-7)はいずれも梵鐘形状だが,南部風鈴(S-5)は形状が異なる。また,南部風鈴(S-7)は他の2つの南部風鈴より大きい。小田原風鈴(S-9)および(S-10)は大きさ,形状いずれも異なり,後者の方が大きく,表面に凹凸がない。風鈴のような周期性複合音は基本周波数といくつかの高次倍音成分で構成されている。この「風鈴の音」を構成するいくつかの成分音の中で,基本周波数は一番低く,レベルが一番大きく,その風鈴の音高となり,音色を決める重要な要素となる。また,風鈴には基本周波数やいくつかの高次倍音に「うなり」が生じ1),やはり,風鈴の音色に大きく寄与する。「うなり」は近接する二つの純音が存在するときに生じ,1秒間に,これら異なる二つの音の周波数差の個数だけ,時系列波形に現れる。そこで,この近接する二つの音がどのように発生しているかを明らかにするために風鈴の3Dモデルを用いてコンピュータ・シミュレーションにより音響解析を行い,実測値と比較検討し,「うなり」や超音波に着目して風鈴の発音性状の特徴を分析する。5.1 音響スペクトル解析録音は無響室でPCMレコーダー(24ビット,サンプリング周波数192kHz)を用いる。風鈴の音をオーバーロードしないように録音し,そのWAVデータからDFT解析を行い,周波数特性を求める。なお,DFT解析を行うための取り込み時間はいずれの風鈴も音が立ち上がってから2秒以上である。また,風鈴と録音機器の距離は10cmほどとする。5.2 シミュレーションによるモード解析各風鈴の大きさを3Dスキャナーで計測し,モデル作成ソフトのSOLIDWORKSやblenderで3Dモデルを作成する。3Dモデルは中身が詰まった,ソ

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