edutiledutilpmApmATime(s)Time(s)6.物理的評価実験Fig. 3 Waveform of S−1─ 7 ─製風鈴にいくつか記述されている。ただし,これらの大半は著者の研究室のゼミナール生の回答と考えられ,風鈴の音は「うなり」が生じているということをすでに教えている。これらのことからも,上述したように,多くの「風鈴の音」には「うなり」が生じていることはあまり知られていないことがわかる。風鈴のような周期性複合音は基本周波数といくつかの高次倍音成分で構成されている。この「風鈴の音」を構成するいくつかの成分音の中で,基本周波数は基本的に一番低く,レベルが一番大きく,その風鈴の音高となり,音色を決める重要な要素となる。また,今回実験で使用している釣鐘型風鈴には,中心軸が45°ずれたふたつの振動モードが存在し,この2つの振動の腹の位置に対応する材料の重みが異なるときに,重さの違いに応じてわずかに異なる振動周波数となり,基本周波数に「うなり」が生じ 1),やはり,風鈴の音色に大きく寄与する。このふたつの振動モードが2つの振動の腹の位置に対応する材料の重みが同じで,振動周波数が同じ場合は,二つの音は位相がずれているため,うち消し合い,レベルが少し小さくなり,減衰も早く,音が鳴っている時間も短くなる。「うなり」が生じているときは,1秒間に,この異なる二つの周波数差の回数だけ,時系列波形に「うなり」が現れる(もちろん,1秒より早く音が減衰してしまえば,現れる「うなり」の回数は少ない)。そこで,「風鈴の音」の基本周波数に「うなり」が生じているかを判断するために,その時系列波形と周波数特性を実験で求める。6.1 測定方法風鈴の音を無響室でリニアPCMレコーダー(24ビット,サンプリング周波数192kHz)を用いてオーバーロードがつかないように録音する。風鈴とレコーダーの距離は10cmほどとする。6.2 結果および考察各風鈴の時系列波形をFig. 3からFig. 5に示す。各図の上段は音の取り込み時間までの波形を示し,下段は視覚的に「うなり」の有無を判断するために,
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