日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第57巻第2号
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Fig. 2 Average Values of Impression Evaluation in Face-to-Face Experiment─ 5 ─5.2.3 因子分析本報では因子分析を行い,その結果が前報6)と同じく大きく4つの因子に分かれ,「室内−屋外」と「響く−響かない」が同じ因子で結びつくか確認する。因子分析にはエスミExcel統計解析シリーズExcel多変量変換Ver.8.0を使用する。主因子法を用い,初期値を重相関係数の二乗,因子の数を固有値1以上の数,斜交回転(κ=4)とする。Table 3に非対面実験および対面実験すべての印象評価(160名)の因子分析結果を示す。黄色い項目は,因子負荷量の絶対値が0.4以上の項目である。これによれば,風鈴の音色に対する24項目の表現語は,前報6)と同様に大きく4つの因子に分けられ,因子1は「美・叙情的因子」,因子2は「日常・快適因子」,因子3は「体感・重量感(既報では材料・素材)に関する因子」,因子4は「賑やかさ・明るさ因子」といえる。空間を表す「室内−屋外」と「響く−響かない」は異なる因子に含まれており,結びつきは薄い。また「涼しい」は「美・叙情的因子」に含まれており,「暖かい−冷たい」が含まれる「体感・重量感に関する因子」とはマイナスにはなっているが結びつきはやはり薄い。5.2.4 自由記述Table 4に各風鈴の音を聴いた後の感想の中で一部の語句を除いて出現回数が5回以上の語句を示す。語句は左から出現回数が多い順に並んでいる。これによれば,いずれの風鈴でも「響き」の回答数が多いことがわかり,ガラスの風鈴に対しては「響きが足りない」,金属の風鈴に対しては「響きが綺麗」のような回答がみられる。また,陶磁器の風鈴においては,「響く」「響かない」の回答が分かれる。このことから,風鈴の音を評価するうえで「響き」が重要な要素のひとつであると考えることができる。また,「コップを叩いたような音」「お寺の鐘のよ

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