Fig. 1 Average Values of Impression Evaluation in Non Face-to-Face Experiment5.2.2 対面実験の印象評価Fig. 2に10種類の風鈴の音の印象評価の平均値を示す。これによれば,ガラスの風鈴は中心からやや右側に,陶磁器の風鈴は中心に,金属の風鈴は左側に集中している。このことから,風鈴の音の印象は大きくガラスの風鈴,陶磁器の風鈴,金属の風鈴で異なると考えられる。空間を表す「室内−屋外」ではいずれも中央に固まっており,真鍮の風鈴(S−8),江戸風鈴(S−1)および有田焼風鈴(S−3)が室内側に寄っている。金属の風鈴はいずれも「響く」側に大きく,ガラスの風鈴はいずれも「響かない」に大きく傾き,陶磁器の風鈴は中央から少し「響かない」寄りに位置している。また,いずれの風鈴も「暖かい−冷たい」の評価は「冷たい」側に位置し,「涼しい−涼しくない」では,金属の風鈴は「涼しい」側,ガラスの風鈴と陶磁器の風鈴では「涼しくない」側に位置する。「好き−嫌い」では,金属の風鈴が「好き」側,ガラスの風鈴と陶磁器の風鈴は「嫌い」側に位置する。─ 4 ─室内で風鈴とレコーダーの距離を約1m離し,一音ずつ減衰するまで鳴らし,ダミーヘッドを用いてバイノーラル録音したものを聴いてもらう。実験時には,風鈴の素材のみを提示し,音のみで印象評価を行う。また,各風鈴を聴いてもらった後に感想を自由記述してもらう。5.2 結果および考察5.2.1 非対面実験の印象評価Fig. 1に3種類の風鈴(S−1,S−3,S−7)の音の印象評価の平均値を示す。これによれば,有田焼風鈴(S−3)および南部風鈴(S−7)においては左側に寄っており,ほぼ同様な傾向を示す。いずれの風鈴も空間を表す「室内−屋外」では中央から少し「屋外」側に位置し,有田焼風鈴(S−3)と南部風鈴(S−7)において「響き」を多く感じている。「暖かい−冷たい」ではいずれも中央から少し「冷たい」側に位置し,「涼しい−涼しくない」ではいずれも「涼しい」側に位置しているが,有田焼風鈴と南部風鈴において,より「涼しさ」を多く感じている。また,3風鈴とも好印象である。
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