日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第56巻第1号
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[ I[ tt0_10 SLIt10_70 SLIt0_10 SIt10_70 SI]smaPM186402468]K21002468Fig. 5のサロゲートガソリンの実験結果に対して評価した燃焼期間の点火数依存性をFig. 6に示す。横軸が点火点数で縦軸が燃焼期間を表している。丸が初期燃焼期間τ0_10,三角が主燃焼期間τ10_70を表している。また,点火数が0の点はスパークプラグによる点火(SI)のデータを表している。図からわかる通り1点レーザーターゲット点火初期燃焼期間τ0_10はSIよりも倍程度長くなっている。これは得られた結果を考察するためにまず,燃焼期間を評価する。一般にエンジン筒内の熱発生率は以下の式で表される。κdQdθここでκは比熱比,pは筒内圧力,Vは燃焼室体 =  p κ-1積,θはクランク角,あるいは時間,生率を表す。今回の実験は急速圧縮膨張装置で圧縮後ピストンを上死点に保った状態で点火・燃焼を行っているため,右辺第1項は無視されるため,第2項のみを用いて評価を行う。燃料の低発熱量を44MJ/kg,比熱比κを1.33と仮定して,圧力から質量燃焼割合を求めた。点火から質量燃焼割合が10%に到達する初期燃焼期間をτ0_10,質量燃焼割合が10%から70%に到達する期間を主燃焼期間としτ10_70で表すこととした。主燃焼期間の終わりを質量燃焼割合90%程度とすることが多いが,本研究ではノッキングを伴う燃焼を扱っているため,主燃焼期間の終わりを70%と早めに設定した。dVdθdQdθ +  V κ-1dQdθレーザーによってピストン表面に形成されたプラズマから発生した火炎よりも電極間の放電の方が熱損失の観点から初期火炎核の成長には適しているためと考えられる。一方,主燃焼期間はSIと1点点火で逆転しているのは,燃焼室上部で点火したものと,中央部で点火したことに起因する火炎面積の違いのためと考えられる。レーザー点火点数を増やすことによって初期燃焼期間は単調に減少するが,主燃焼期間は5点でも9点でも大きく変わらなかった。これは多点で点火してもある程度の時間が経過すれば,火炎が融合して未燃混合気を伝播する火炎面積に差が無くなるためであると考えられる。今回の点火方法で目指した,等容度の向上につながる燃焼期間の短縮は多点点火によって実現できることがわかる。は熱発一方,ノッキング強度に関しては点火点数に対して単調な現象は見られなかった。そこで圧力履歴の5kHzよりも高い成分の最大振幅をノッキングインデックス(KI)と定義し,その点火点数に対する依存性をFig. 7に示す。Fig. 6と同様に点火点数0のデータ点はSI時の値を示している。図から分かる様に,点火数を1から5までは点火数が増えるほどKIが減少しているが,9点ではむしろ増大している。エンドガスが自着火に至るかどうかはそのエンドガスが経験する温度・圧力の時間的な積分値に依存するとされている。従って,基本的にはできるだけ早期に燃焼が完了すればノッキングを抑制できると考えられるが,今回の実験で得られた9点点火と5点点火ではKIの大小が逆転している。その原因について火炎およびエンドガスの形状から考察する。Fig. 8にピストン表面から球状に広がった火炎がク16141210Number of SLI pointsignition points10ignition points─ 38 ─2.51.50.5KISLIKISINumber of SLI points10Fig. 6  Dependence of combustion duration on number of Fig. 7  Dependence of knocking index on number of 4.考察

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