[ eruss2erP[ erusseraP3M010aPM]P54]154321010燃料はn-heptaneで,予混合気の当量比はφ=0.72,初期温度Tinit=80degC,初期圧力Pinit=0.1MPaとした。図中において異なる点火に相当する圧力履歴が示されている。図からわかる通り,1点のレーザーターゲット点火に比べて9点のレーザーターゲット点火の圧力の時間的な上昇が著しく早いことがわかる。これは,多点で点火したことにより燃焼室を伝搬する火炎面の面積が基本的には9倍に増大したことに基づくと考えられる。一方,破線で表されるスパークプラグによる点火の圧力履歴は1点のレーザー点火に比べて燃焼は早期化しているものの圧力の時間的な上昇割合の傾きは小さい。これはレーザーターゲット点火はピストン表面から火炎が成長している状態に対して,スパークプラグでは電極間から成長するため,初期火炎の熱損失としてはスパークプラグが有利であったが,伝搬する火炎では,スパークプラグでは円柱型の燃焼室上部で点火したため,下部へ伝播する火炎の面積が中央部で点火した火炎の面積よりも小さくなるためと考えられる。また,それぞれの圧力履歴のピーク部分に着目すると顕著な圧力振動が生じていることがわかる。これは,伝播火炎と燃焼室壁面に挟まれた未燃ガスが圧縮を受けて高温高圧状態に一定時間保たれたことよって自着火を生じたことによる,エンジンにおけるノッキングと呼ばれる現象に相当する。燃料として用いたn-heptaneはノッキングしやすさを表す指標であるオクタン価が0という極めてノッキングしやすい燃料であったので,ガソリンを模擬した燃料であるサロゲートガソリンS5Rを用いた実験を実施した。同じ当量比で初期圧を0.14MPaと高めた場合の実験結果をFig. 4に示す。基本的な点火点数に対する燃焼の依存性は変わっておらず,圧力が1.4倍にも関わらず,ノッキング強度はあまり高くなっていないことが見て取れる。次に同じS5Rを用いて当量比を0.84とした結果をFig. 5に示す。図中で9点レーザーターゲット点火,1点レーザーターゲット点火,及びスパーク点火の圧力履歴は早期化している。また,後述するが5点レーザーターゲット点火の結果も重ねて描いている。9点レーザーターゲット点火は圧力の立ち上がりが早いがピーク部分のノッキング強度が著しく強い。一方,5点レーザーターゲット点火の圧力履歴ではほぼノッキングは生じていないことがわかる。9 Points Laser Ignition5 Points Laser IgnitionSpark Ignition1 Point Laser Ignition9 Points Laser IgnitionSpark Ignition1 Point Laser IgnitionS5R= 0.722030405060Time [ms]2030405060Time [ms]S5R= 0.84708090100708090100Fig. 3 Typical pressure histories of 9 points, 1 point, and spark ignition of n-heptane/air mixtureFig. 4 Pressure histories of 9 points, 1 point, and spark Fig. 5 Pressure histories of 9 points, 1 point, and spark ignition of S5R/air mixtureignition of S5R/air mixture─ 37 ─
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