合,チョーク条件における温度比は約0.83(絶対温度比)となる。すなわち,噴流温度は約244K(−33℃)となる。しかしながら,測定したTj,1は0℃以上であり,等エントロピー膨張と比較して明らかに高い値である。このことから,伝熱面に衝突する直前の噴流は不足膨張噴流であることがわかる。また,チョーク条件以上のP/Paにおいて,Tj,1/Taの傾向はH/d=0.5と1.0で大きく異なった。H/d=1.0では,チョーク条件を満たすとTj,1/Taが急激に低下するが,低下後はP/Paに比例して増大する傾向が得られた。Tj,1/Taが増大する要因としては,P/Paに比例して空気密度が増大することによる質量流量の増加が考えられる。質量流量が増加によって衝突部であるよどみ点の圧力が増大し,ノズル出口と衝突部の圧力比が小さくなることにより,噴流温度が上昇したと考えられる。H/d=0.5でも同様にチョーク条件を満たすことでTj,1/Taは低下した。圧力比に対する変化として,P/Paが3を超えた場合にTj,1/Taの減少率は低下するが,P/Paが4を超えると減少率が向上した。次に,伝熱面上における噴流の温度比Tj,2/TaをFig. 6に示す。Fig. 5の結果と異なりノズル出口部がチョーク流れとなったことによる影響は見られなかった。また,P/Pa≦3においてTj,2/TaはH/dの影響を受けない。一方で,P/Pa>3おいては,H/dの違いによる影響がみられた。過去の研究において,ノズル直下のよどみ点温度は周囲の温度と比較して高いことが報告されている7)。Fig. 5より,H/d=0.5ではH/d=1.0と比較してP/Pa>3におけるTj,1/Taが低いことから,伝熱面上の平均温度が低下したと考えられる。以上より,膨張前後の噴流温度計測結果から,噴流はFig. 5 Underexpanded jet temperature ratio versus pressure ratio.伝熱面衝突直前まで不足膨張噴流であり,伝熱面上において急激に膨張していることが判明した。さらに,P/ Pa>3において,H/d=0.5と1.0では,P/Paの増大に対する傾向が異なった。3.2 衝突噴流による伝熱特性実験により取得した2点の熱電対間の温度差をFig. 7及びFig. 8に示す。Fig. 7及びFig. 8より,P/Paの増大に伴い,温度差が小さくなっていることが判る。また,Fig. 7に示す温度差を⑴式に適用することで算出した伝熱面上における平均熱伝達率をFig. 9及びFig. 10に示す。なお,h−2はそれぞれ平均熱伝達率の算出に用いた噴流温度Tj,1,Tj,2に対応している。は膨張前の噴流温度Tj,1を用いて算出しているため,伝熱面上での膨張による噴流温度低下を考慮していない。また,Tj,1はノズル直下の局所的な温度であるが,平均熱伝達率の算出に用いることで伝熱面上における噴流膨張の影響を無視した平均熱伝達率が求められる。一方で,h−2は伝熱面上における噴流の平均温度Tj,2を元に算出し1とh−た平均値である。⑴式より,h−2の差は噴流温度に1とh−のみ依存することから,h−2の差が噴流の膨張による影響と考えられる。以上より,h−2を比較することで,伝熱面上における噴流膨張による伝熱促進効果について検討した。Fig. 9及びFig. 10より,平均熱伝達率はP/Paの増大に伴って向上する結果が得られた。また,チョーク条件を満たさない場合(P/Pa<1.89)における平均熱伝達率を比較すると,噴流の膨張による影響は見られない。一方で,チョーク条件を満たす場合(P/Pa≧1.89)では,h−2に差が見られた。H/d=0.5におけるは,P/1とh−Fig. 6 Expanded jet temperature ratio versus pressure ratio.─ 4 ─1及びh−1及びh−
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