生産工学部研究報告A(理工系)第55巻第1号
33/36

回応用物理学会春季学術講演会(2022)25a-F307-2⑵ 玉井隆一,清水耕作,“How-wire酸素化による非晶質In-Sn-Zn-O TFTの信頼性向上”第18回CAT-CVD研究会(2021)9p-4名 称半導体電子物性解析装置光電子収量分光装置 PYS-200+型真空型ケルビンプローブ UHVKP020IPES装置分析チャンバー型 式電気電子工学科  清水耕作電気電子工学科  新妻清純─ 31 ─No.2設備・装置使用責任者共同使用者令和3年度利用状況 2次元層状物質二硫化モリブデン薄膜(MoS2)を用いてTFTの作製を試みている。当研究ではスパッタ法にて作製したMoS2薄膜がp型を示すことに着目し,高性能なp型薄膜トランジスタの作製を検討している。MoS2薄膜はスパッタで作製した場合,鱗状になった物質片(〜μmφ)が基板上に堆積することが分かっており,しかも層間の密着性はファンデルワールス力のみであり非常に弱い。つまり剥がれやすい。今年度は,応力マッチングを取ること,素子構造の最適化により安定な薄膜を作製すること,デバイス構造を検討すること,また正孔注入のバリアハイトを低減し,より電荷注入効率を向上させ,チャネル抵抗を下げることに注力した。 作製したMoS2薄膜は真空準位から伝導帯の底が-4.43eV,価電子帯の上端が-5.74eV,フェルミレベルの位置が-5.37eVとそれぞれ評価することができ,p型薄膜になっていることを確認した。また,金属(チタン,アルミニウム,銀,金,銅)の仕事関数を調査し,当研究室で扱える材料として銅(5.11eV)が最も適していることを明らかにし,トランジスタのコンタクト層を作製した。正孔電界効果移動度51.42cm2/Vsを得た。これは世界最高の値である。この結果は応用物理学会で発表し,高い評価を得た。また,今後信頼性を検討する予定である。 またIn-Sn-Zn-O薄膜,については水素化,酸素化による製膜時の点欠陥を補填するべくホットワイヤ法で原子状の酸素を作製し薄膜を酸素化した。これにより正・負ゲートバイアス光ストレス(NBIS,PBIS)に対して,高い信頼性が得られることを確認した。第一原理計算を用いて検討した結果,層間位置に酸素が入ることが伝導帯の底を形成するIn-5s軌道を安定化させることを理解した。研究成果⑴ 清水耕作,鈴木直登,荒井大地,半澤元基,“二硫化モリブデンを用いたp型トランジスタの作製と高性能化”第69購入年度平成24年度応用分子化学科  山根庸平

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る