日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第54巻第2号
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434Table 3 Outline of Seismic EventsEpicentral AreaMWest of Ogasawara IslandsSouth IbarakiSouth IbarakiNorth West ChibaSeismic Source TimeMay 30th PM 8:30 2015August 2nd AM 7:15 2017August 3rd PM 1:45 2018May 6th PM 1:57 2020茨城県南部を震源とする2つの地震は,マグニチュードM4.6,震源深さ50km弱,最大震度3と4で,震源距離は約70kmである。また,千葉県北西部を震源とした地震は,マグニチュードM5.0,震源深さ68km,最大震度4で震源距離が68kmである。これら3つの地震は,規模は大きくはないが比較的近距離で発生した地震である。何れの地震も,本キャンパスのFree-Fieldの観測値より求めた震度相当値は震度が2から3で,Free-Fieldの最大加速度は2020年5月6日に発生した地震のEW方向が20Galを上回ったものの,他の地震は20Galを下回る地震記録である。5.1 最大加速度と最大速度による検討地表面と各建物1階における相互作用を把握するため,加速度と速度の最大値をNS, EWおよびUD方向で比較する。Fig. 9に各建物1階と地表面の最大加速度の関係,Fig. 10に各建物1階と地表面の最大速度の関係を示す。〇,△および□印は,それぞれNS, EWおよびUD方向の観測値である。Fig. 9, 10に,各建物の回帰直線を,Table 4に回帰係数を示す。Fig. 9, 10より,最大加速度と最大速度は地表面の値に比べ建物1階が低減されている傾向であり,入力低減が認められるが,地表面の最大速度が1.6m/s近傍で建物1階が増加している。これはTable 3に示している2015年5月30日に発生した小笠原諸島西方沖の地震で,深層地震である。Table 4より,最大加速度の回帰直線の傾きは4号館と37号館が約0.55,5号館と39号館が約0.60となっている。また,最大速度の回帰直線の傾きは4号館が約1.0,5号館,37号館と39号館が約0.90となっている。最大速度に比べ,最大加速度の低減割合が大きくなっているが,最大加速度,最大速度共に低減していることが確認できる。Focal Depth (km)8.16824.64.65.0484668Fig. 9  Maximum Acceleration of 1st Floor and Free-FieldFig. 10  Maximum Velocity of 1st Floor and Free-FieldTable 4  Regression Factors of Maximum 安井ら17)は,兵庫県南部地震において,強震地域の建物基礎上で同時観測された5棟と地表面で観測された観測記録を使用し検討していた。基礎応答の最大値は地表面に比べ,最大加速度が7割,最大速度が9割に低減されることを報告している。本研究の結果と比較すると,Fig. 9, 10より各建物において最大加速度は約6割,─ 54 ─Maximum accelerationMaximum VelocityMaximum Seismic IntensityMeasured Seismic Intensity Equivalent ValueUpper 52.832.441.842.71Acceleration and VelocityNo. 40.5540.999No. 50.6010.906No. 370.5580.920No. 390.5950.892Hypocentral Distance (km)8757672685.地表面と建物1階の比較

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