Keywords: Vibration Characteristics, Maximum acceleration, Acceleration Response Spectrum, Shear Wave Velocities, Site Amplification *日本大学大学院生産工学研究科博士前期課程建築工学専攻2年**日本大学生産工学部建築工学科教授本学部津田沼キャンパスでは,東京大学地震研究所の協力により,国立研究開発法人防災科学技術研究所が使用してきたK-NET強震計と標準強震計試作試験研究会が開発したSMAC型強震計の2次利用として,2007年6月に5号館と37号館および自由地盤(Free-Field)上に強震計を設置し,強震観測を開始した1)。2013年8月には,過去にDC型強震計が設置されていた4号館に新たに強震計を設置し,それと同時に強震計の時刻補正に問題があった37号館に新たに強震計を増設した2)。また2014年8月には,防災活動の一環として39号館に白山工業製のLU201_SU201型地震計を設置した3)。強震観測を開始した2007年から今日まで,強震計を設置した4棟とFree-Fieldでは観測記録が得られており,これまで様々な検討が行われている1)〜6)。高畠ら4)は,4号館を対象に2013年から2015年までに観測された強震観測記録を用いて,振動性状の原因となる諸特性(スウェイ振動,捩れ振動およびロッキング振動)に関して検討を行なっている。また,建設後約50年が経過した4号館の経年と地震による振動性状の変化を,過去に山辺ら7)により実施された起振機振動実験結果との比較も行なっており,4号館の1次固有周期近傍で生じるロッキング振動と捩れ振動を明らかにしている。郡司ら5)は,構造種別の異なる5号館と37号館を対象に2007年から2017年までに観測された強震観測記録を用いて振動特性の変化を考察している。特に2011年に発生した東北地方太平洋沖地震による建物2棟の地震前後の挙動について詳細に検討を行っている。その結果,師橋らの研究1)での指摘と同様に,東北地方太平洋沖地震前後では5号館と37号館共に構造部材と非構造部材の損傷によると考えられる剛性低下により固有周期が僅かに延びていることを明らかにしている。伊藤ら6)は,39号館を対象に2014年から継続的に行われている強震観測記録を基に,建物への地震入力について最大加速度,速度の最大値および振動数領域で検討を行なっている。その結果,39号館に入力される加速度,速度が地表面に比べ低減することを明らかにしている。以上のように,これまでの研究では主として特定の建物を対象に検討が行なわれており,Free-Fieldを含めた観測建物4棟の地震時挙動の比較が行われていない。またこれまでの研究では,キャンパスにおける地盤の振動特性をFree-Fieldの一点で代表しているが,キャンパス内に点在する建物の直下の地盤を表現できているかと─ 49 ─日本大学生産工学部研究報告A2021年 12 月 第 54 巻 第 2 号資 料Strong-motion Observation of Collage of Industrial Technology, Nihon University─Vibration Characteristics of Building and Field─1.序論Takuya NAKAJIMA*,and Toshiaki FUJIMOTO**中島拓哉*,藤本利昭**日本大学生産工学部における強震観測─建物と地盤の振動特性─
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