日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第54巻第2号
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概  要─ 26 ─建設業法は,1971年に建設業を「登録制」から「許可制」に切り替え,許可業種区分として,総合2業種(土木・建築),専門26業種の計28業種が規定された。解体工事は「とび・土工工事業」に含まれ,一式工事の土木工事,建築工事,とび・土工工事業の間に埋没したまま,43年という長い月日を費やしたが,2014年6月,改正建設業法が公布され,晴れて解体業が許可業種として独立することが決まった。「解体工事業」成立により,解体工事に配置される技術者に求められる,技術・知識を認定する資格制度の確立が必要となり,(1)解体工法の専門知識,技術的知識,(2)安全管理,施工管理能力,(3)環境面の課題に対する知識,(4)建設廃棄物対策に関する知識,(5)関係法令の知識,(6)マネジメント能力(現場管理)の観点から議論され,2016年6月技術者要件・資格が発表された。本資料では,「解体工事業」成立に伴い,「解体工事業」が抱えることになる,解体工事の安全管理,解体工事の技術開発-高層化,高強度化への対応・課題解決について展望言及している。今回の建設業法改正では,「離職者の増加,若年入職者の減少等による将来の工事の担い手不足が懸念される」ことから,「建設工事の適正な施工とその担い手の確保が喫緊の課題」と指摘している。今後,解体市場はますます増加する。若く熱意にあふれた技能者入職,熟練工の定着を図るためにも,労働環境や労働条件の改善が図り,人材の教育を進めて行くことが重要と思える。日本における「解体工事業」の成立と展望湯浅 昇

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