日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第54巻第1号
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─ 16 ─力され,その評価結果が出力,該当プロジェクトへフィードバックされる。これに対して,環境視点の改善活動では,Fig. 2のような評価フレームとなる。この中では,改善活動の実施結果に加え,その公表状況についても評価対象とする。これにより,改善活動によるサプライチェーン性能と,公表活動によるCSR性能の両視点からの評価がなされる。2.2 評価システム上述のFig. 2の評価システムは,以下の2種類のモデルを含んでいる。これらは,線形計画問題におけるDEAを縮退したモデルである。一般にDEAは,評価対象となる事業体の成果(出力)と,そこに至る資源(入力)を比較し,前者が大きく,後者が小さいほど優れいていると判定する手法である。2要素,すなわち,入力に対する出力の比率の最大化が目的関数となる。これに対し,本モデルは,入力もしくは出力の1要素のみを考える。この縮退により,各要素の状況を明らかにする。なお,以下の説明では,事業体を業種,入力を改善プロジェクトの実施状況,出力を改善活動の公表状況とする。モデル1:改善活動の実施評価モデル定式化を式⑴から⑶に示す。この中では,各業種が複数の改善プロジェクトを実施している状況を想定する。目的関数値Iioは,評価ターゲットとなる業種(事業体)ioの改善実施の状況を示す値である。求解では,複数の改善プロジェクトの実施状況について,業種間で比較し,各業種の値が最大1となる制約下で,業種ioの改善プロジェクト実施が最も評価される値を探索する。<目的関数>MaxΣsj=1IujIjio(=Iio)⑴(評価される業種ioの改善実施状況を示す値)<制約条件>Σsj=1IujIji≤1⑵(業種iの改善実施状況を示す値の制約条件)Iuj≥0⑶(改善プロジェクトjの重みづけ係数の非負条件)<使用記号> Iio:評価される業種ioの改善実施状況を示す値 Iji:業種iの改善プロジェクトjの実施状況を示す値Iμj:改善プロジェクトjの重みづけ係数 i:業種の添字 io:評価される業種の添字 j:改善プロジェクトの添字 s:総改善プロジェクト数モデル2:改善活動の公表評価モデル本モデルの定式化を⑷から⑹式に示す。考え方はモデル1と同様であり,モデル1の改善プロジェクトを公表活動に置き換えたものがモデル2となる。このモデルでは,各業種が複数の公表活動を行っている状況を想定する。目的関数値Dioは,評価ターゲットとなる業種ioの公表活動の状況を示す値である。求解では,複数の公表活動について,業種間で比較を行い,各業種の値が最大1となる条件下で,業種ioの公表活動が最も評価される値を探索する。<目的関数>MaxΣtk=1DukDkio(=Dio)⑷(評価される業種ioの公表活動状況を示す値)<制約条件>Σtk=1DukDki≤1⑸(業種iの公表活動状況を示す値の制約条件)Duk≥0⑹(公表活動kの重みづけ係数の非負条件)<使用記号> Dio:評価される業種ioの公表状況を示す値 Dki:業種iの公表活動kの状況を示す値 Dμk:公表活動kの重みづけ係数Fig.1 Conventional Kaizen evaluation systemEvaluation systemProjectInputFeedbackImprovement of supply chain capabilityFig.2 Enviromental Kaizen evaluation systemProjectannouncementImprovement of corporate imageEvaluation systemInputInputFeedbackFeedbackImprovement of supply chain capability

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