日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第54巻第1号
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─ 10 ─ト分75mm程度の範囲での加工となった。この芯持ち板を「Core板」と呼び,その後樹皮側に向けてB-1st・B-2ndと順に名付けた。なお,丸太から板材への加工後の試験まで約2ヶ月間屋内において平積みで養生した。丸太と皮付き板材に対する試験として,重量・寸法計測および打音による縦振動試験を行った。丸太の重量の計測は,クレーンとスリングの間に荷重計を設置し,計測した。皮付き板材の含水率は,電気抵抗式含水率計(kett社 MT-700)にて計測し,重量計測は,台ばかり(容量100kg)を用いた。丸太の体積を算出する際には,元口と末口の外周を計測し,その平均値が丸太の円周であると定めた。長さは,直径方向で2箇所計測し平均とした。皮付き板材の体積算出では,両木口面の樹皮側と髄側の幅を計測し平均化することで断面積とし,長さは両面の中央付近で計測した。縦振動法では,木口をプラスチックハンマーで打撃し,FFTアナライザ(RION SA-78)にて,打撃面で音より得られた固有周期を収録した。得られた固有振動数f0(Hz)木材の長さL(m)および密度ρ(kg/m3)からヤング率Efを次式にて推定した6)。Ef=(2×L×f0)2×ρ………………………………(1)なお,密度と長さは前述の方法によって得た数値を用いた。2.2 小試験体10本の丸太から506体の小試験体を作成した。皮付き板試験体のうち,芯持ち「core板」からFig.2に示すように末口からA/B/C/D/E/Fの高さ方向6箇所,幅方向に芯から順に9枚程度の厚さ12mm程度の板材を切り出し,節が極力中心付近に来ないように長さ250mmに切削し,曲げ試験に用いた。試験体の幅は,元の厚さである4cmから6cm程度のまま使用した。小試験体は,重量・寸法計測,含水率計測および曲げ試験を行った。重量の計測には電子天秤(容量2kg 精度0.01g)を用いた。含水率は,全乾法とし,120度3日間程度で恒量に達したのちに計測した。寸法計測は,試験前とし,長さは30cmの直尺を用い,幅と厚さは,ノギスを使用した。曲げ試験はFig.3に示すような簡易型の試験機を作成し実験に用いた。試験機は,3点曲げとし,曲げスパンは200mmとなるように固定した。また,加力点にはハンド型油圧ジャッキ(揚力2t)を用い,ジャッキ先端に直径30mmの鋼材を設置し,加力した。検力には,ジャッキ台下にボタン型ロードセル4個(容量200kg)を設置し,合算し荷重とした。変形は,試験台に取り付けた変位計により計測を行った。データの収録には,データロガーを用いた。また,今回は,手動計測のため破壊荷重の計測はできなかった。曲げ試験における仮剛性を計測最大荷重の0.1倍の点と0.4倍の点を結ぶ近似直線より求めたのち,その近似直線から5%以上外れる点を比例限荷重値とした。また,ヤング率(M. O. E(GPa))の計算には,比例限荷重までの近似直線の傾きP/Δ(kN/mm)を使用し,曲げスパンを200mmとし,断面2次モーメントI(m4)を用い,(2)式にて算出した。M. O. E.=P/Δ×(2003/48I)……………………(2)3.結果3.1 丸太および皮付き板の試験結果Table 1に丸太および皮付き板の試験結果を示し,Fig.4およびFig.5に丸太試験体と皮付き板試験体の密度ならびにヤング率について示す。なお本報では,密度Fig. 1 Conguration of Specimen for Board test with barkFig. 3 Conguration of Bending testFig. 2 Bending test specimen of Cutting plane

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