─ 38 ─密画像の元々のピクセルが黒であったのか,白であったのかを表すとともに,シェア1とシェア2のピクセルパターンを重ねたときに白ピクセルか黒ピクセルかのどちらに復元されるのかを示している。Fig.8は,Caoらの手法を用いて作成したシェア画像である。Fig.9は,Fig.8の2個のシェア画像を重ねたときに復元された秘密画像と元の秘密画像である。Caoらの手法を用いて復元したQRコードの画像は,白を8個の白ピクセルと8個の黒ピクセル,黒を16個の黒ピクセルで表現している。シェア画像を重ねたときにOR演算により秘密画像を復元する視覚復号型秘密分散法ではないが,関連研究としてJiangらの手法6)やZhangらの手法7)がある。Jiangらの手法では,XOR演算を用いた画像に対する秘密分散法をQRコードに適用している。また,Zhangらは,QRコードのクワイエットゾーン,タイミングパターン,アライメントパターン,左下の切り出しシンボル,右上の切り出しシンボル以外のデータ部分と左上の切り出しシンボルに対して,秘密分散法をピクセル単位ではなく,QRコードのセル単位でパターンの置き換えを用いて適用している。しかしながら,Jiangらの研究では,XORを処理するための媒体が必要となってしまい,Zhangらの研究では,秘密画像を復元するために2枚のシェアのデータから再度パターンを読み込み,さらに,パターンを置き換える処理を行わなければならない。3.2 提案手法従来手法のシェア画像では,2枚のシェア画像から1個のQRコードを復元することができるが,シェア画像は白いピクセルと黒いピクセルがランダムに配置された砂嵐のような画像となり,シェア画像単体では意味のある画像にはなっていない。一方,本稿で提案する手法1では,Atenieseらの拡張視覚復号型秘密分散法をQRコードに適用させ,秘密画像の1ピクセルを4分割にしたシェアの組み合わせのピクセルパターンをQRコードに適用することで,シェア自身にも意味のあるデータを組み込むことが可能になる(Table4)。したがって,提案手法では,シェア画像が何のシェアであるのか示したり,それぞれのシェア画像に別々のQRコードの情報を載せたりすることで扱えるデータの量がいままでよりも格段に多くなる。なお,Table4のシェア1のピクセル,シェア2のピクセルとはシェア画像に載せる画像の元々のピクセルが黒であったか,白であったのかを示している。提案手法1では,秘密画像の1ピクセルを4分割にしているので,シェア画像と復元画像において濃淡差が小さくなってしまう。そこで,シェア画像と復元画像が明るくなるように改良したものが提案手法2である。提案手法1では,秘密画像の1ピクセルを4分割し,2個の黒ピクセルと2個の白ピクセルから構成される白を表すピクセルと3個の黒ピクセルと1個の白ピクセルから構成される黒を表すピクセルをシェア画像において用いているが,提案手法2では,秘密画像1ピクセルを16分割し,6個の黒ピクセルと10個の白ピクセルから構成Fig. 9 Recovered image (Top), original QR code (Bottom)Fig. 8 Share 1 (Top) and 2 (Bottom) of previous scheme
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