日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第53巻第1号
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─ 37 ─誤りが生じても,その誤りを訂正して正しい情報を読み取ることができる能力である。QRコードの誤り訂正能力は,誤り訂正能力7%のレベルL,誤り訂正能力15%のレベルM,誤り訂正能力25%のレベルQ,誤り訂正能力30%のレベルHの4種である。同じバージョンであったとしても選択する誤り訂正能力のレベルによって,QRコードに埋め込める文字数は変わり,Hが一番少なく,Lが一番多くの文字を埋め込むことができる。本稿では,標準として漢字36文字埋め込み可能なバージョン6でレベルHのQRコードを用いる。バージョン6のQRコードにおいて共通している構造をFig.7に示す。切り出しシンボルは,QRコードの3個のコーナーに配置することで,シンボルの位置や大きさ,傾きなどを検出するためのパターンである。タイミングパターンは,白セルと黒セルが交互に配置された,シンボル内のモジュール座標を決定するためのパターンである。アライメントパターンは,歪みによって生じる各セルの位置ずれを補正するためのパターンである。クワイエットゾーンはセルで構成された正方形のコードの周囲の空白部分である。切り出しシンボルを最初に検索することでQRコードの位置を360°どの方向からでも認識することができ,高速な読み取りを可能にしている。3.拡張視覚復号型秘密分散法のQRコードへの適用3.1 従来手法Caoらの(2, 2)しきい値視覚復号型秘密分散法では,秘密画像の1ピクセルを16分割している。この手法では,Table3に示すシェアの組み合わせにより,白ピクセルと黒ピクセルを分散している。また,Caoらは,シェア画像の白ピクセルと黒ピクセルの偏りをなくすためにシェアのピクセルパターンを減らし,さらに,復元画像を明るくするためにシェア画像を重ね合わせたときに白ピクセルになる組み合わせを同じピクセルパターンにしている。なお,Table3のシークレットのピクセルは秘Fig. 5 (2, 2)-EVSSS (share 2)Fig. 6 (2, 2)-EVSSS (recovered image)Fig. 4 (2, 2)-EVSSS (share 1)Fig. 7 QR code common structure (Ver. 6)Table 3 Combination of shares of previous scheme

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