─ 30 ─たらない部分(No.3))から多数の細菌が検出された。一方,コンベアタイプでは,社員食堂Cのすすぎノズル(No.4)からのみ細菌が検出された。3.3 菌種の同定SCDLP寒天培地に生育したコロニーから微生物株を94株単離し16S rRNA遺伝子解析により同定した結果,合計23属84株に分類された(Table3および4)。ドアタイプ食洗機においては,Bacillus属,Micrococcus属,Anoxybacillus属,Geobacillus属といったグラム陽性菌が多く検出される傾向が見られた。コンベアタイプ食洗機においては,グラム陽性菌に加えて,Paracoccus属,Pseudomonas属,Acinetobacter属などのグラム陰性菌が多く検出された。すすぎ湯が80℃の高温となるすすぎ槽からも,グラム陽性菌とグラム陰性菌が検出された。高温培養(60℃)で生育が認められた好熱性細菌は,ドアタイプからAnoxybacillus属,Geobacillus属,Pseudoxanthomonas属,Meiothermus属の4属14株得られたが,コンベアタイプからはAnoxybacillus属の1属1株のみ得られた。同定された23属84株のうち,20属79株がカタラーゼ陽性株に分類されるものであった。多くのカタラーゼ陽性株は好気性細菌もしくは通性嫌気性菌であることから,今回の実験条件において絶対嫌気性菌は得られにくいことが分かった。3.4 菌種別検出率の解析生菌数測定結果と菌種の同定結果より,各細菌の占有率を算出した。最も検出頻度が高かった細菌は,Bacillus属で22%,次いでAnoxybacillus属11%,Acinetobacter属7%,Micrococcus属7%,Paracoccus属7%,Staphylococcus属5%の順であった。Bacillus属は,今回調査した食洗機の約7割から検出された。食洗機全体で,グラム陰性菌よりもグラム陽性菌が占める割合が高いことが分かった。3.5 考察ホテルA,ホテルB,ホテルC,社員食堂B,病院のように(Table1),洗浄剤濃度が適正に維持され,使用後の庫内の清掃がしっかり行き届いている食洗機では,菌数が低い傾向にあった。この結果から,食洗機の生菌数は,洗浄剤の使用濃度や使用後の洗浄方法と関連性が高いことを示唆している。また,我々は,80℃の湯があたるすすぎ工程では,ほとんどの細菌が高温により死滅すると予測していたが,食洗機のパーツや工程によらず,あらゆる部位から細菌が検出されることが分かった。特に洗浄タンクは,他のパーツよりも菌数が多い傾向であった。洗浄タンクには,60℃の洗浄剤が溶解した60℃の洗浄水が溜まる。洗浄水は,すすぎ湯が入ってくることによって毎回一部がオーバーフローして入れ替わる構造になっているが,被洗物から持ち込まれる食品汚Table 3 Bacterial ora of door-type dishwashers.Parts No.Cultivated at 35℃Cultivated at 60℃Gram-positiveGram-negativeGram-positiveGram-negative1Bacillus (1)Exiguobacterium (1) Micrococcus (1)Acinetobacter (1)Anoxybacillus (1) −2Bacillus (1)Micrococcus (1)Anoxybacillus (1)Pseudoxanthomonas (1)Staphylococcus (1)Acinetobacter (1)Petrobacter (1)Geobacillus (1) Pseudoxanthomonas (1) Anoxybacillus (2) −3Bacillus (2)Gordonia (1)Micrococcus (1)−Geobacillus (1) Anoxybacillus (1) Meiothermus (1)4−−Geobacillus (1) −5Bacillus (1)Anoxybacillus (1)Kocuria (1)Acinetobacter (1)−−6Bacillus (1)Microbacterium (1)−Anoxybacillus (1) −( ):Number of dishwashers in which strains were isolated
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