日本大学生産工学部 生産工学部研究報告A51-2
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─ 30 ─重が及ぼすことによる等価走行回数比は0.358,0.110となる。これらの結果につてTable2に赤字で表示した。以上のように輪荷重の軸直角方向および軸方向の辺長A, Bの寸法およびコンクリート圧縮強度が押抜きせん断耐荷力に大きく影響することになる。6.3 一定荷重・振動荷重が及ぼすRC床版のS-N曲線縦軸Sは本供試体の基準荷重P=72kNを押抜きせん断耐荷力PS. maxで除したS値とする。これらの結果をTable3に示す。なお,Table3には輪荷重走行疲労実験における等価走行回数Neqも併記した。以上より,基準荷重Pを押抜きせん断耐荷力PS. maxで除して無次元化したS(=P/PS. max)値と等価走行回数Neqとの関係で表されるS-N曲線をFig.10に示す。(1)一定荷重走行実験コンクリート圧縮強度25N/mm2のRC床版供試体RC25の等価走行回数は4.091×106回である。一方,圧縮強度30N/mm2のRC床版供試体RC-30の等価走行回数は9.045×106回,圧縮強度35N/mm2のコンクリートで製作したRC床版供試体RC35に9.0mm厚の鋼板を敷いた供試体の等価走行回数は24.563×106回である。しかし,基準荷重Pを式(5)で表される押抜きせん断耐荷力PS. maxで除して無次元化したS値をS-N曲線上にプロットすると式(3)に示すS-N曲線上にプロットされる結果となった。このことから,圧縮強度および輪荷重の設置面が異なるRC床版および実験状況においても,押抜きせん断耐荷力を適切に算定することで,破壊荷重付近の等価走行回数が適切に評価されることが分かる。(2)振動荷重走行実験:±20%コンクリートの圧縮強度25N/mm2の供試体に±20%の振動荷重で疲労実験を行った供試体RC25-V20-1のS値0.375であるが等価走行回数1.615×106回であり,一定荷重で疲労実験を行ったRC25の等価走行回数との比は0.395であり,大幅に低下している。一方,圧縮強度30N/mm2の供試体RC30-V20-1,2のS値は0.359であり,これをプロットするといずれも一定荷重RC床版のS-N曲線式の下方となる。また,圧縮強度33N/mm2の供試体RC35-V20-1は,S値は0.340であり,等価走行回数はさらに低下し,2.075×106回である。以上より,供試体RC25-V20,RC30-V20およびRC35-V30のS値と等価走行回数の関係Nを評価すると走行振動荷重値±20%が及ぼした場合のRC床版のS-N曲線式が評価されることになる。(3)振動荷重走行実験:±30%コンクリートの圧縮強度25N/mm2の供試体に±30%の振動荷重で疲労実験を行った供試体も±20%の振動荷重と同様にS値と等価走行回数の関係をプロットする。コンクリートの圧縮強度25N/mm2の供試体に±30%の振動荷重で疲労実験を行った供試体RC25-V30-1のS値は0.375であるが等価走行回数0.564×106回である。一方,圧縮強度30N/mm2の供試体RC30-V30-1,2のS値は0.359であり,等価走行回数はそれぞれ1.167×106回0.920×106回である。コンクリートの圧縮強度33N/mm2の供試体RC33-V30-1はS値が0.340,等価走行回数が2.075×106回であり,これらの関係をS-N曲線上にプロットすると,走行振動荷重値±20%のS-N曲線の関係より更に下方にプロットされる結果となった。よって,一定荷重による疲労実験より評価されたRC床版のS-N曲線式とは整合性が得られない結果となった。よって,新たな提案式を検討する必要がある。(4)振動走行荷重±20%,±30%のS-N曲線式前述したように,振動荷重が作用する場合も一定荷重走行時の疲労破壊のモードは押抜きせん断破壊であることから,一定荷重走行時と振動荷重作用時のS-N曲線の勾配は同じであり切片のみが変化すると仮定できる。この仮定を用いることにより,振動荷重±20%の供試体RC-V20の場合のS-N曲線は式(6),供試体RC-V30の場合は式(7)として与えられる。1)振動荷重±20% log(P/PS. max)=-0.06417 log N+log 0.935(6)2)振動荷重±30% log(P/PS. max)=-0.06417 log N+log 0.865(7)なお,式(6),(7)におけるS値は基準荷重Pを押抜きせん断耐荷力PS. maxで除した値に一定荷重走行実験のS-N曲線式をスライドさせた結果である。以上より,段差を有する伸縮継手部などによって発生する荷重変動,すなわち振動荷重が基準荷重に対して20%,30%程度の振動荷重が重畳することでRC床版のFig.10 S-N curve
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