日本大学生産工学部 生産工学部研究報告A51-2
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─ 24 ─動荷重が作用した場合にRC床版の耐疲労性に及ぼす影響について検証を行う必要がある。そこで本研究は,RC床版試験体を用いて一定荷重に対して土20%および土30%の振幅を持つ正弦波形の振動荷重を用いた輪荷重走行疲労実験を行い,一定荷重による輪荷重走行疲労実験における等価走行回数を基準に振動荷重が重畳した場合の耐疲労性を評価する。また,阿部ら4)が提案するRC床版のS-N曲線式との整合性について検証するとともに,本供試体の押抜きせん断耐荷力を評価し,走行振動荷重が影響を及ぽす場合のRC床版のS-N曲線式を提案する。2.既往の研究および損傷事例2.1 大型自動車の荷重変動大型自動車が段差を有する伸縮継手部を走行する際に発生する荷重変動および衝撃力に関する研究はこれまで幾つか行われている1),2),5),6),7)。土木研究所の研究1)では,支問45mの合成桁橋に20mmの段差を設け,総重量205kNのタンデム式ダンプトラックを用いて,実験車両が通過する時に発生する中軸・後軸の荷重変動についての実験を行っている。ここで,中軸・後軸の荷重変動をFig.1および中軸左車輪のピーク荷重と作用位置をFig.2に示す。なお,Fig.1,2は引用文献1),2)に示す日本語表記を英語表記として示したものである。Fig.1より,中軸左重量は軸重量37.73kNに対して最大荷重107.8kNの荷重が作用している。また,後軸左重量も軸重量37.14kNに対して102.9kN,すなわち中軸後軸で基準荷重に対して2.77倍と2.88倍の荷重が作用している。また,Fig.2に示すように3軸ダンプトラックが20mmの段差を時速40kmで走行した場合の中軸左車輪が段差部通過後のピーク荷重においても最大荷重が100kN,最小荷重が-56kNの荷重変動が生じている。しかし,Fig.1に示すようにタンデム式の場合は中軸が負の荷重になると同時後軸が最大値を示すことから,中軸,後軸が交互に作用するものと考えられる。したがって,これらの荷重変動すなわち振動荷重が及ぼすことによる耐疲労性を評価する必要がある。2.2 荷重変動が及ぼす範囲横山ら5)はタンデム式ダンプトラックが段差量10mm,20mm,30mmを通過する際に発生する中軸左輪荷重の段差通過後の荷重分布を得るために,ピーク荷重とその作用位置を求め,段差通過後の荷重分布および段差量別包絡線をFig.3のように示している。なおFig.3は文献6)に示す日本語表記を英文表記と示したものである。Fig.3における斜線部は段差の位置であり,その後方の路面には段差部よりも大きな荷重が作用している。これによると段差部から2m,8mにピークが見られる。よって,この範囲の床版には大きな荷重が及ぶことになる。Fig.3 Distribution of load and step dierence after passage of faulting envelope diagram5)2.3 走行振動荷重作用する衝撃係数筆者ら7)は,荷重変動が作用した場合のRC床版の衝撃の影響について実験研究を行い,荷重変動率(%)および道路橋示方書・同解説(以下,道示とする)に規定するRC床版の衝撃係数i8)を考慮した動的影響係数αIについての算定式(1)を提案している。   Kv≦Ki;αI=i   Ki<Kv;αI=0.050Kv0.675(1)ただし,Fig.1 Load uctuations of heavy vehicles1)Fig.2 Peak load and location at which load was applied2)

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