日本大学生産工学部 生産工学部研究報告A51-2
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─ 16 ─や視床下部などの脳底部を磁気刺激することを目標とする。そのための基礎実験として,口腔内に収まる大きさの励磁コイル(以降,口腔内コイル)を設計製作し,そのコイルにより得られる磁束密度を計測した。また頭部モデルを用いた数値解析を実施し,実験で得た磁束密度と比較することで結果の妥当性を確認した。併せて実験で得るには難しい誘導電流密度(脳の直接の刺激量)を推定した。2.口腔内コイルの設計および製作製作した口腔内コイルの写真をFig.1に,仕様をTable1に示す。コイルのサイズは口腔内に収まるようにするため,外径を50 mm,高さを25 mm以内とした。また,使用する電源装置の仕様上,口腔内コイルのインダクタンスは10~16 μHとなるようにした。以上の条件を満たす口腔内コイルについて,コイルの中心から直上82 mm(脳底部の位置を想定)の位置(r=0,zp=82)で,磁束密度が極力大きくなるように内径および巻き数を決定した。なお,磁束密度Bz(0,zp)の大きさは,Fig.2のように座標を定義して,ビオ・サバールの法則に基づく式(1)から求めた5)。   zpp=μ(0, z )202+-()-b1ba2aBr223/2rzzjdr dz{}=(γ+β)lnμ2α +(γ+β)α+221+(γ+β)1+2ja1-(γ-β)lnα +(γ-β)α+221+(γ-β)1+2(1)ここで,Bzは磁束密度のz方向成分の大きさ,μ0は真空の透磁率,2bはソレノイド高さ,a1は内径,a2は外径,jは平均電流密度の大きさ(=NI/2b(a2−a1)),Nは巻数,Iは電流の大きさ,zpは磁束密度の計算位置,α=a2/a1,β=b/a1,γ=z/a1である。3.脳底部位置での磁束密度計測実験3.1 磁束密度の計測手法磁束密度は自作したサーチコイルを用いて計測する。口腔内コイルが作るパルス磁場によって,サーチコイルに生じる誘導起電力の大きさVは式(2)の電磁誘導に関するファラデーの法則で表せる。また,本実験で発生させる磁場は正弦波(Fig.3)なので式(3)で表せる。   =VNdφdt=NπrdBdt2(2)   =sinBBωtpeak(3)ここで,Nは巻数,φは磁束の大きさ,tは時間,rは半径,Bpeakは最大磁束密度の大きさ,ωは角周波数である。式(3)を時間tで微分すると式(4)となるので,その最大値は式(5)となる。   =cosωBωtpeakdBdt(4)   ==ωBpeakBpeakpeakdBdt2πT(5)ここで,Tは周期である。式(2)と式(5)から式(6)が得られる。   =×BpeakVpeakT2Nπ r22(6)Fig. 1 Designed intraoral coil.Table 1 Specication of the designed intraoral coil.Fig. 2 Coordinate definition of calculation of magnetic ux density.Fig. 3 Waveform examples of the oscilloscope.

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