日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第51巻第1号
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─ 5 ─また,シミュレーションでも考慮したように,エレベーターの乗降では降りたくない人が邪魔になることで時間のロスが生じる。単純には,Fig.2のシミュレーションの設定で,邪魔になる人がなければ,最大でも4ステップでエレベーターの外に出ることができるので,Fig.6のグラフを見ると,これらの値は理想値であることが分かる。特に,Table1は降りたくない人が降車の邪魔になる(回避行動が必要となる)場合の有無で降車時間平均をまとめた表であるが,邪魔となりやすい「3人が降車」と「条件なし」などでステップ数が高くなっていることが分かる。すなわち,邪魔が生じないことも効率化には重要となる。そこで,邪魔が生じないように,降りたい人よりも出口方向に近い位置には降りたくない人を配置しないようにし,更に降りたい人が「前方かつ中央」に集まるようにシミュレーションを行ったので,その結果をFig.7に示す。考察通り効率化がなされることが確認できた。なお,降車人数が増えて8名となったときには,効率が良いのは「前方」または「中央」の方である。「前方かつ中央」では,4名がFig.2の番号1~4のセルにいれば条件を満たしてしまい,例えばFig.8のように効率の悪い配置が生じてしまうことが原因である。以上の結果として本稿では,効率化を考えた初期配置としては,・Fig.9の優先順で降りたい人を出口に近い方から配置すればよいと結論づけることにする。Fig.6 Graphs of numerical experiments (Each 100 trial) and demonstration experiments (Each 10 trial). (Each data are arranged from the lowest to the highest. The points of the demonstration experiments are plotted at x=5, 15, …, 95.)
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