日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第51巻第1号
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─ 31 ─研究成果⑴ 大久保龍太郎,山口 晋,伊藤義也,オートクレーブ養生によるセメント硬化体の高強度発現メカニズムに関する基礎的研究,日本大学生産工学部第50回学術講演会,2017年12月2日,pp.497-pp.498平成29年度利用状況 コンクリートのオートクレーブ養生は,大型の養生装置を用いて180℃-1MPaの高温・高圧蒸気養生により所要の高い強度が得られ,地中杭をはじめとした高強度コンクリート二次製品の製造に一般的に用いられている。しかし,この方法は環境への負荷が大きく,従来から課題とされてきた。この課題に対し,研究者らは,低環境負荷(低温)型のオートクレーブ養生技術の確立を目指した研究を開始した。これまでの研究成果において,低温型のオートクレーブ養生技術の実現の可能性は示しているが,これらの養生技術確立には,コンクリートのオートクレーブ養生には必須とされる11Å Tobermoriteの生成が強度発現性に及ぼす影響を明らかにする必要があると考えた。 そこで平成29年度は,一般的なオートクレーブ養生の3時間を含む,500時間までの長時間のオートクレーブ養生を実施し,11Å Tobermoriteの生成とセメント硬化体の強度発現性に着目した検討を行った。その結果,結晶質の11Å Tobermoriteの多量な生成が,セメント硬化体の粗大空隙量を増大させ,微細構造を粗密化させることから,11Å Tobermoriteの生成は,オートクレーブ養生によるセメント硬化体の高強度化に必須ではないことを明らかにした。以上のことは,これまでの11Å Tobermoriteの生成に限らない新しいオートクレーブ養生によるコンクリート高強度化理論の基礎となるものである。No.2設備・装置名 称環境制御型構造物部材試験評価システム型 式材料強度試験機(サーボバルサ)EHF-UV200kN-40L形恒温槽内曲げ試験装置 −20℃~+80℃セメント硬化体用水銀圧入式ポロシメータ Pascal 140/440 特別仕様型使用責任者土木工学科  伊藤義也購入年度平成20年度共同使用者土木工学科  山口 晋環境安全工学科  鵜澤正美

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