日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第51巻第1号
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─ 1 ─1.はじめにどの大学でも同じではあると思うが,講義開始前の講義棟において,エレベーター前には長い待ち行列が発生し,遅刻しないように先を急いでいるときには大きな問題となる。そして,この問題は大学だけではなく,エレベーターの利用に関して,長い待ち行列を解消することは重要な課題である。ある人がエレベーターで移動するときの時間としては,行き先階の上下ボタンを押してからの「待ち時間α」,エレベーターが来てからの「乗降時間β0」,降車階までのi回目の停車で掛かる「乗降時間βi」となる(乗降時間に扉の開閉時間を含む)。したがって,N回の停車で降車階に着いたとすると, Ni=1∑++β0βiα(1)によって,上下ボタンを押してから降車階に着くまでの時間が表される。よって,複数の利用者に対して,この値が最適化されることが望まれる。よく知られているエレベーター運行の効率化システムには,エレベーター自体の効率的な運行を目指す「群管理システム1)」や,エレベーターに乗る人を行き先階により振り分ける「エレ・ナビ2)」がある。大雑把には,「群管理システム」は,各々の待ち時間が最適化されるようなシステムであり,「エレ・ナビ」は,行き先階により乗車エレベーターを振り分けて停車回数Nを減らすシステムである。しかし,エレベーターの混雑時,特に冒頭で述べたような大学での朝の時間帯のように1階からほとんどの人が乗り込み各階で降りるときには,「群管理システム」では対応できず,朝の30分程度のために「エレ・ナビ」のような特殊な機能を導入することになってしまう。そこで本研究では,「エレベーター内の人の動き」に注目し,人の乗り降りをスムーズに行うことにより,式研究ノート日本大学生産工学部研究報告A2018年 6 月 第 51 巻 第 1 号エレベーター内の乗降者配置による稼働効率化―乗降者配置システムによるエレベーター内の制御―間田 潤*,塩田佳明**,豊谷 純***System for Increasing Eciency of Human Behaviour in an Elevator―Guidance System of an Appropriate Riding Position for Passenger to Eciently Get o an Elevator―Jun MADA*, Yoshiaki SHIOTA** and Jun TOYOTANI***There are some elevator systems to shorten waiting time, for example the elevator group supervisory control systems and Mitsubishi destination oriented allocation system (ELE-NAVI). Since they are operation control systems, their functions are dropping for an excessive number of people. Hence, by simulating human behaviour in an elevator using a cellular automaton, we propose a guidance system of an appropriate riding position for passenger.Keywords:Elevator, Cellular Automaton, Human Behaviour *日本大学生産工学部教養・基礎科学系准教授 **日本大学生産工学部マネジメント工学科4年***日本大学生産工学部マネジメント工学科教授
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