日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第51巻第1号
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─ 21 ─る)まで減速操作を行い,それ以上は減速をすることなく,そのままの速度を保っていることがわかる。Fig.6に位置の推移を示す。実線が自車位置,破線が先行車位置で,一点鎖線が呈示領域の手前側の位置である。支援により,ドライバは現在の速度を維持すると先行車と衝突する可能性があることを認識しているため,領域の外へ出るように減速操作を行っている。領域の外に出た後に,領域内に進入しないように走行することで,先行車へ追突することなく,追従している状況が確認できる。なお,先行車の加速が遅れる場合や加速度が低い場合など,先行車の速度の仮定が実際と異なる場合には,その時点で減速要求距離を再計算する必要がある。今回の実験結果からは,信号切り替わり時(0s)の先行車に対する衝突余裕時間から,先行車が停止し続けた場合でもドライバが制動を行う余裕が十分あるため,直ちに危険な状況を引き起こすことはないと考えられる。4.結論本研究では,信号交差点での停止車両を考慮した不要な減速を回避する支援システムを提案し,DS実験により検証した。その結果,支援システムにより,先行車と衝突することなく,不要な減速を回避して,先行車に追従できることを確認した。本報告では,先行車が一台で停止している状況について扱ったが,信号待ち車両が複数台の場合や,停止せずに走行している場合でも,先行車の速度プロファイルを仮定することができれば,それに応じて減速要求距離を求めて対応することが可能である。謝辞本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)JP17H02055「交通実態と効果評価に基づくドライバの認知判断支援による信号交差点の安全・円滑化」の助成を受けた。ここに,記して謝意を表する。参考文献1)公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団:乗用車のエコドライブテキスト,(2015),p.25.2)一般財団法人道路交通情報通信システムセンター:信号情報活用運転支援システム(TSPS),http://www.vics.or.jp/know/service/tsps.html, (参照日 2018年2月7日).3)丸茂喜高,中野尭,中西智浩,道辻洋平:路面への情報呈示による信号交差点でのドライバ判断支援シRedGreenUpper limit velocityPrecedingvehicleOwn vehicle0510152025-10-5051015Velocity[m/s]Time [s]Fig.5 Time history of vehicle velocity.RedGreenEvaluationindexPrecedingvehicleOwn vehicle-200-150-100-50050100150-10-5051015Position[m]Time[s]Fig.6 Time history of vehicle position.Fig.3 Overview of xed-base driving simulator.Fig.4 Indication image of evaluation index.

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