日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第51巻第1号
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─ 8 ─これまで(2-3)と同様の実験として,エレベーターに乗る人数は10人とし,そこから降りる人数を3人と7人の2パターンで設定した。そして,各々のパターンで,(a)条件を与えない(比較用)(b)システム利用(エレベーター前に2列で並ぶ)(c)システム利用(エレベーター前に4列で並ぶ)    ※Fig. 12での2列の4名以降を左右に分割するの3パターンに分けて各10回の試行を行った(整列を2列と4列としたのはエレベーター前のスペースを考慮した結果である)。なお,実験手順はFig. 14のように  (1)「降りる・降りない」をクジ引きで決める  (2)「降りる・降りない」をシステムに入力する  (3)開始線にいったん並ぶ  (4)合図でエレベーター前に並んでから,再度の合図でエレベーターに乗り込む  (5)乗り込みが終了したら,合図により降りる人が降車する  ※(a)の「条件を与えない」場合は,(2)の手順はスキップし,エレベーター前の並び方も任意とする。と定める。3.3.実験結果および検討Fig. 15はエレベーターの乗降に関わる「並ぶ」,「入る」,「降りる」の時間平均を示したグラフである。3人降りる場合と7人降りる場合の両方で,条件なしのグラフが1番高くなっており,システムを活用することでエレベーターの稼働効率化が実現されていることが分かる。また,場所に余裕があれば4列よりも2列で並ぶ方が「入る」部分で効率的であることも分かった。なお,「並ぶ」の時間はエレベーターの待ち時間を活用すれば良いので,このシステムで一番効率的な3名が降車する「システム利用2列」と「条件なし」を比較すると,「入る+降りる」は概算で(9.0+4.8)−(8.6+2.5)=2.7と,式(2)で示し,目指したx0+y1の最小化に,エレベーター1機につき約2.7秒の貢献ができたと言える。もし,エレベーターが4機ある建物で使用すれば,この条件下で約11秒の短縮が見込まれる。4.まとめ我々の提案したシステムでは,エレベーターを利用する人に乗車位置と乗車前の整列にルールを設けることにより,Fig. 15のように乗降時間の短縮に成功した。そして,本提案は既存の群管理システムやエレ・ナビとは異なるシステムによる効率化であり,・単独のシステムで用いることができるFig. 15 Graphs of the demonstration experiments on the presence or absence of the systemFig. 13 Layout of the equipmentFig. 14 Experimental procedure

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