日本大学大学院生産工学研究科ガイド
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 日本大学には加工シミュレーションの分野で実績のある高橋先生がいらっしゃったことから日本大学大学院生産工学研究科を選びました。仕事ではどうしても決められた時間の中で成果を出すことが求められ、とことん研究に向き合うということは難しいものです。博士後期課程の3年間は仕事をしながら研究にも取り組む。そんな二束のわらじをはく生活でしたが、大変というよりは自分のしたい研究ができて楽しいという想いの方が大きかったです。大学院に進学し、会社ではできない理論的な検討や基礎的な実験を行うことにより、加工シミュレーションの結果を実現象に近づけることができるようになりました。現在は社内の多くの人が加工シミュレーションの技術を使ってものづくりをするようになっており、会社全体にとっても、有益な研究ができたと思います。 入学時に高橋先生から研究者として人脈を形成していくことも大事だとアドバイスをいただいていました。実際、国際学会や国内学会の発表を通じて加工シミュレーション分野で著名な教授をはじめ、多くの方と知り合う機会を得ることができ、大きな財産となりました。また、会社では海外の方と仕事をする場面も多々ありますが、特に、海外では、仕事上の重要な人物にコンタクトを取って業務を進めていけるなど、博士号があることは大きな違いとなって現れてきます。仕事と学業を両立できるのかという不安も正直ありましたが、大学院でしっかり学びたいという想いに周りは応えてくれます。また、仕事をしながら大学院で学ぶというのは覚悟が必要ですが、私の周りを見渡してもそういった方は探究心のある方が多く、それだけ仕事でも成果を上げていらっしゃる。努力したらした分だけ仕事、人生も大きく変わっていく。大学院に進学することで可能性は大きく広がっていくと思います。 地元名古屋の大学を卒業後、同大学の大学院修士課程に進学。その後、就職して、現在は三菱重工業で航空機部品製造工程の加工シミュレーション業務を担当しています。航空機の部品をつくる際には、金型に密着させて成形していきますが、金型にぴったりの形でできるのではなく、そこからはねあがる現象が起きます。これをシミュレーションにより予測し、設計図面通りに部品をつくれるようにするのが加工シミュレーション。コンピュータを使って正確に形を予測することで、精度の高いものづくりができ、安全性の観点からも壊れにくい部品をつくることができます。比較的新しい技術のため、シミュレーション結果と実現象が合わないこともあり、悩んでいました。より高い精度で予測できるようになりたい。大学院進学を決意したのはそんな想いからでした。仕事と学業を両立させながら研究者としてのキャリアの基盤を築く人脈形成をはじめ研究者として多くの財産を得たとことん研究に向き合えることが楽しい加工シミュレーションを極めたい河野 亮機械工学専攻 博士後期課程修了三菱重工業株式会社在職しながら博士後期課程修了23

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