1 環境安全工学科の特徴2 環境安全工学科の教育目標Department of Sustainable Engineeringこの学科で学ぶこと科学技術の発達による恩恵は計り知れないものがあります。科学技術は私たちの生活を便利にし,時に新しい価値観を生み出し私たちの生活を豊かにしてきました。しかし21世紀になり,人類全体でその恩恵を享受しようとしたとき,20世紀型の科学技術では継続した文明の発展が不可能であることが明らかになりました。科学技術の進歩には人々を幸福にする側面だけでなく,地球環境へ影響を与えたり,私たちが予測できない危険を持ち得るという側面があるからです。これからは従来の科学技術を“サステイナブル”の観点から再構築し,持続発展可能な技術に転換していく道筋が重要です。このためには,環境共生とエネルギーを基軸に捉えた幅広い分野を横断する知識と技術が求められます。環境安全工学科ではサステイナブルという観点から環境共生・エネルギーの基礎知識を経営工学に関する知識とともに横断的に学修します。また持続発展可能な社会の実現には協働が必須となります。技術者として必要な協働力は,実習を通して主体性とともに身につけます。同時に21世紀はグローバリゼーションの時代です。日本は既に社会,産業,そして文化を含めて世界との交流なしには成り立ちません。このような観点から,環境安全工学科ではカリキュラムにおいてインターナショナルコミュニケーション能力の一層の向上を図っています。そして,サステイナブルな観点から世界で活躍し,新たな問題の解決に貢献できる国際技術者の養成を目指しています。このような技術者の養成とともに,環境共生とエネルギーの観点から地球環境を守る複合工学である環境安全工学を発展させ,持続発展可能な社会の実現に寄与することを目指しています。環境安全工学科では次の2コースを設けて,専門教育を行っています。環境安全工学科では,地球規模の視野を持ち,持続発展可能な社会の実現のために工学分野を複合的に学びます。そして,環境共生とエネルギーに関する知識と応用能力及び技術が社会と自然に及ぼす効果と影響について,サステイナブル(持続可能)な視点から考え行動できる総合能力を有する技術者を養成することを目的としています。このような人材の養成のために,環境安全工学科では以下の8つの教育方針を設けています。環境安全コース(Environmental Safety Course)環境エネルギーコース(Sustainable Energy Course)地球温暖化による気温上昇により,エネルギーの転換問題90私たちは地球環境の変化とそれに付随する様々な環境問題に直面しています。将来を見通すと,地球環境と生態系サービスを回復させながら,全ての人に必要な利益を提供し,将来世代に引き継ぐことが重要な課題といえます。この課題解決を図るため,技術者には自然との共生の実現のため,環境共生技術が求められています。環境安全コースでは,現在社会で用いられている知識に関して理解を深めるとともに,関連する法令や規格に関する知識も身につけます。また実技科目を通して分析・解析手法を身につけ,発展する科学技術に対する適応力と新たな課題に対する問題解決力を身につけます。が引き起こされています。いま,持続可能な発展に向け,気温上昇抑制の取組みが国際的に拡がっており,我が国でも温室効果ガス低減に向けた厳しい目標を定めています。技術者には,エネルギー利用の高効率化,省エネ技術の促進,新規材料開発や製造方法改良といった,ネガティブエミッション技術が求められています。環境エネルギーコースでは,持続可能な社会に向けたエネルギーの創出と利用のために必要な基礎的な知識について理解を深め,総合的なエネルギーの管理について必要な知識を身につけます。また実技科目においてエネルギーの創出や利用に関する実習を行い,持続可能な社会の実現に向けた技術者としての主体性と協働力を身につけます。なお,コースの配属は2年後期に行いますが,配属方法については「学習の手引」を参照してください。◦豊かな教養と自然科学・社会科学に関する基礎知識に基づき,環境安全工学分野に関わる技術者としての倫理観を高めることができる。◦国際的視点から,環境安全工学の観点に基づいて必要な情報を収集・分析し,自らの考えを説明することができる。◦環境安全工学を体系的に理解して得られる情報に基づき,論理的な思考・批判的な思考をすることができる。◦生産工学及び環境安全工学に関する視点から,新たな問題環境安全工学科
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