生産工学系科目についてグローバル化及びボーダーレス化が加速する昨今では,国際的に活躍できる知識と能力を兼ね備えた技術者の育成が急務であり,専門知識や語学力のみならず,多様性を強みとしたチームワークにより新たな価値を創造できる人材が求められています。生産工学部では,教養基盤・専門分野の知識と能力に加え,みなさんが国際社会を生き抜くうえで必要な普遍的能力を獲得するために,カリキュラムの継続的改善に取り組んでいます。その基本的な考え方は,「ものづくり」のみを対象とした技術者教育とは一線を画し,国際社会を舞台に「ものづくり」の全体をマネジメントし,新たな価値を創造・提供できる経営管理能力,すなわち「生産工学力を備えた自主創造型技術者」の育成です。本学部では,これを具現化するために,ディプロマ・ポリシーの達成度向上と質保証を重視した特徴的なカリキュラムを構築しています。カリキュラムは,図-1のように教養基盤科目,全学共通教育科目,専門教育科目,そして生産工学系科目の4つの科目群で構成され,みなさんは4年間の学習を通じて各科目の達成目標とディプロマ・ポリシーを満足することで「生産工学力を備えた自主創造型技術者」へと成長します。生産工学系科目では,みなさん一人ひとりが将来像を描きながら,主体性や課題発見・解決力等に代表されるジェネリックスキル(汎用的な基礎力)を身につけるために,インターンシップの先駆けである「生産実習」を学部創設当初から必修科目として開講しています。「生産実習」を中心とした教育プログラムは,1991(平成3)年度から専門教育科目の一体系として機能し,2007(平成19)年度には生産工学系科目としての独立と同時に,その柱を担うキャリアデザイン教育が体系化されました。さらに,2017(平成29)年度にはエンジニアリングデザイン教育を新たな柱に加えて再構築し,それらを支える土台の役割を「生産工学の基礎」が,それらを統合する結び目の役割を「生産実習」が担っています。生産工学系科目において,キャリアデザイン教育とエンジニアリングデザイン教育を柱とすることは,本学部の教育を特徴づけるとともに,グローバル化やボーダーレス化に対応した技術者の育成を可能とします。エンジニアリングデザイン教育では,国際的な活動で求められるチームワーク力や主体性,課題発見・解決力等を養うために,PBL型授業を全学科で積極的に展開しています。また,表-1に示す○印の科目では,ディプロマ・ポリシー(表中のDP)の達成度を向上させるため,達成目標や主要教材を全学科で共通化し,科目レベルでの学習効果を同一とすることで教育の質を保証しています。図-1「生産工学力を備えた自主創造型技術者」を育成する日本大学生産工学部カリキュラムの概念図生産実習(カナダの現地企業におけるインターンシップ)表-1 生産工学系科目(うち,科目名の○印は学部共通教育科目)の概要科目群科目名授業の概要対応するDP生産工学系科目○生産工学の基礎学科の特徴を理解し,チームワークによって新たな課題を発見し,解決に向けた最適解を提案する。DP2,4,5,6,7,8○キャリアデザイン求められる知識と能力を理解し,技術者としての将来像と実現に向けたキャリアを設計する。DP8 キャリアデザイン演習人生観と職業観を養い,「なりたい自分」を実現するためのアクションプランを立案する。DP8 技術者倫理技術が社会や自然に及ぼす影響を理解し,各分野の技術者の社会に負う責任を認識する。DP1,8○生産実習実社会での実習を通じて,理論と実践の関係を学び取り,「経験を学びに変える力」を養う。DP1,3,5,8 プロジェクト演習専門知識を活用したPBLを通じて,エンジニアリングデザインプロセスを実践する。DP4,5,7○データサイエンス種々の情報を定量的に把握し,データに基づく新たな課題の発見と解決を目指す。DP1,2,4○経営管理「ものづくり」を俯瞰し,新たな価値の創造に向けて組織目標を達成する仕組みを理解する。DP1,2,5○SDコミュニケーション産官学民連携により,地域社会や会社組織における新たな課題の発見と解決に取り組む。DP4,5,736
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