数理情報工学科/学習の手引R7
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履修モデル:知的情報処理技術 二十数年程前、コンピュータがチェスの世界チャンピオンに勝ち、将棋等でも素人ではコンピュータに勝つことは難しくなってきている。これらのボードゲームは大変知的なものであり、人間に勝つということは、コンピュータが人間に匹敵する知的活動を行えるということを示すものと言える。しかし、碁ではまだ人間に勝つことは難しく、さらにコンピュータが人間のように学習して、チェスや将棋の腕を上げていくようなことはできない。一般に、コンピュータは計算がめっぽう速いが、融通が利かず、考えたり、学習したりすることは苦手で、賢いとは言い難い。 ゲームに限らず、コンピュータが賢くなれば、人間のように高度で知的な情報処理が可能となり、使い易いシステムが実現できる。例えば、人間はキーボードやマウスでコンピュータに処理を指示するが、指示に少しでも間違いがあると処理を受け付けてくれず、人間の意図を察して指示を好意的に解釈してくれることはない。逆に、コンピュータは処理結果をディスプレイに文字やグラフ等で表示するが、表示方法は相手の人間が変わってもいつも同じで、相手の人間の知識や理解に応じて、表示方法や表示内容を変えたりすることはできない。一方、人間同士のやりとりは互いに相手の意図や理解を推察し合いながら行われ、相手の知識や理解を推察しながら、音声、文字、図、絵、表、数式等(マルチメディア)を適切に組み合わせて行われる。これによって、人間同士はスムーズなやりとりができる。一方、コンピュータを使用する場合は、人間がコンピュータに合わせる形で使わざるを得ず、使い難い。人間はコンピュータとも人間と同じようにやりとりすることが居心地いい。 コンピュータを人間のように賢くし、知的な情報処理や使い勝手の向上を実現するための技術が知的情報処理技術である。 主要関連科目:人工知能、メディア信号処理、コンピュータグラフィックス、確率統計解析 その他の関連科目:ソフトウェア工学概論、プログラミング及び演習Ⅰ・Ⅱ、オブジェクト指向及び演習、アルゴリズムとデータ構造、アルゴリズムとデータ構造演習、ソフトウェア構築及び演習、プロジェクト演習 主な就職先や職業:コンピュータメーカ(研究所)等の技術開発技術者・研究者、システムエンジニア(SE)、ゲームプログラマ

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