48 で打ち上げました.また,H2ロケットで打ち上げられた“HTV(こうのとり)”により,平成23年1月と平成26年8月の2度に分けて,我々の装置を国際宇宙ステーションでに運びました.一つめの実験は,NASAの実験棟で平成27年度に行われました.二つ目の実験は,JAXAの実験棟で平成29年に行われました.2024年に再びスウェーデンから小型ロケットを打ち上げ,6分間の宇宙実験を行いました.宇宙で実験を行う理由は,長時間の無重力環境を利用することができるからです.燃焼現象には自然対流が付き物です(図2参照).自然対流は現象を複雑にし,得られたデータの解析を困難にします.そこで,自然対流の発生しない無重力環境で実験を行うことを試みているわけです.無重力環境の実現は,短時間であれば地上でも可能です.現在私たちは,50 mの落下塔を利用しての約2.5秒の無重力環境や,航空機を利用しての約20秒の無重力環境で実験を行っています.無重力実験というとどうしても大がかりな実験になってしまうのですが,普段はキャンパス内にある自作の落下塔(図3参照)で約1.1秒の無重力環境を作り出し,繰り返し実験を行っています.無重力環境の利用は,世界的に見てもまだまだ始まったばかりです.だからこそ,若い人の力とアイディアが必要とされています.興味のある方は是非私たちとコンタクトを取って下さい. 3.実験装置 卒業研究に使用されている装置の一部を紹介します. ・ 落下塔(微小重力環境発生装置):高さ9 mの塔から実験装置を落下させ,見かけ上の無重力状態を作り出す装置です.・ 耐G高速度ビデオカメラ:毎秒111,000こまの撮影が能なビデオカメラです.小型であり,衝撃に強く設計されているので,落下塔で実験を行うときに用います. 4.その他 ・宇宙航空研究開発機構(JAXA)から委託研究を受け,航空機および落下塔を用いた微小重力実験を行う.(平成14~令和元年度)・JAXA・NASAとの共同研究により,国際宇宙ステーションで燃料(正ヘプタン)液滴列の燃焼実験を行った.(平成27年)・JAXA・NASAとの共同研究により,国際宇宙ステーション(ISS)で燃料(正デカン)液滴列の燃焼実験を行った.(平成29,30年).現在,次のISS実験の装置を開発中.・日本大学学長特別研究(令和1~3年)に採択され,小型ロケット用燃焼実験装置を製作.その実績によりJAXA宇宙小規模プロジェクトに採択された.令和6年にスウェーデンから小型ロケットを打ち上げて宇宙実験を行った.同様な実験をISSでも行う予定で,JAXAに申請を行っています.火炎自然対流通常重力環境微小重力環境火炎自然対流通常重力環境微小重力環境図2 図3
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