44 ることもあります.その際には学生と共に入念に準備を行って実験装置を北海道に輸送し,1週間にわたり実験を繰り返します.もっと長い無重力時間が必要な場合は,国際宇宙ステーション(ISS)で実験を行います.平成27年にはNASAの実験棟で,平成29年には日本実験棟“きぼう”で実施しました.良質な無重力環境である一方で,実験装置は手の届かないISSにあるため,もどかしい思いもしましたが,すばらしい実験結果を得ることができました.無重力環境を作り出す方法は他にもあります.小型ロケットに実験装置を搭載して打ち上げることで,落ちてくるまでの6分間が無重力環境となります.令和6年3月には研究室で設計や試験を行った実験装置をスウェーデンから小型ロケット(TEXUS60号機)で打ち上げました.現在は,小型ロケットの後継プロジェクトとして,再び国際宇宙ステーションにて燃焼実験を行うことを計画しています.研究室ではISSに搭載する実験装置の主要部分の設計検討を進め,地上検証試験を行うための準備を行っています. 33..実実験験装装置置 研究テーマごとに実験装置があります.これは既存のものではなく,取得したいデータに合わせて自作しています.3DCADを駆使して図面を作成し,ひとつひとつ部品を組み上げていきます.また各機器を制御するためにプログラムの作成や,電気・電子工作をして回路を作ることもあります.ここでは,大型の装置や計測装置を紹介します. ・ 落下塔(微小重力環境発生装置):高さ9 mの塔上から実験装置を落下させ,見かけ上の無重力状態を作り出す装置.津田沼キャンパスの32号館に設置されています.・ 耐G高速度ビデオカメラ:毎秒100,000コマの撮影が可能なビデオカメラです.高速な現象をとらえるための特別なカメラです.落下実験にも使用できるように,小型で耐衝撃性を有しています.・ 粒子径分布測定装置(LDSA):レーザを用いて液体または固体の噴霧の粒径測定をすることができます.インジェクタから噴射される燃料噴霧の粒子径分布の計測などに使用します.44..そそのの他他 研究紹介や授業を通じて,エンジンやエネルギーに関して興味を持ったら,気軽に研究室にお越しください.また,宇宙やロケットに興味を持った仲間も増やしたいと考えています.国際宇宙ステーションやロケットのことを聞きたい場合も,遠慮なく研究室に遊びに来てください.私の企業経験(IHIエアロスペースに7年間在籍し,イプシロンロケットの構造設計に従事)も交えて宇宙談義ができればと思っています. 津田沼キャンパスに設置された「落下塔」小型ロケット TEXUS (a)メンバとの記念撮影(b)60号機打ち上げの様子打上げ前最終準備中のロケット搭載実験装置
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