36 ・農作業用連結車両の安定化制御に関する研究一度の運搬でより多くの貨物を運搬できるような大型トレーラが必要とされてきていますが,トレーラが大型化するにつれて連結車両特有の事故(スウェイ,ジャックナイフ,パワーホップなど)が起こりやすくなり,被害も大きくなることが予想されます.またトレーラの付け替えは効率的な運搬を行う際には必須であり,制御を行う時は車両(トラクタ)側のみで制御が完結していることが望ましいです.本研究では,連結車両特有の現象を記述可能な非線形車両モデルを構築し,事故の詳細な発生メカニズムを調査しています.さらに連結車両特有の非線形挙動を抑制するために,非線形制御法を用いた手法を開発しています(図2). ・自動運転車両の自己位置推定に関する研究自動運転に必要なことは,周囲の環境を認識すること,自身の位置を把握すること,指示通り動作することです.SLAM(自己位置推定をしながら地図を同時に作成する)というのは,自身の位置を把握する技術であり,ロボットの分野で発展,ロボット掃除機のルンバなどにも応用されています.古くからある技術ではありますが,演算負荷が高いことや使用するセンサが高価なことから実用場面は限定されています.このSLAM技術を応用して,ドライブレコーダの映像を3次元空間で再現する研究を行っています.事故につながりそうな状況をシミュレーション空間で再現し,そこに開発中の自動運転車両を配置して,危険な状況を回避できるかどうかの試験を行うことで,自動運転車両の性能評価を検証していきます.図2 連結車両の安定化制御に関する研究 図3 自動運転車両 3.実験装置車両運動シミュレーションソフトウェア(CARLA,AWSim,TruckSim)や,MATLABなどのプログラミング言語を使用しています.シミュレーションが多めだったので,ハイスペックPCを多数用意しています.また自動運転車両(図3)やシミュレータなどもあり,他大学でもなかなか経験できない研究テーマに取り組めるように思います.4.皆さんへのメッセージ型にとらわれず,やりたいように研究をしてほしいです.一緒に悩み,苦しみながら,社会に出て働くことを意識しつつ,楽しんで研究していきましょう.学生フォーミュラの顧問もやっておりますので,どうぞよろしくお願いいたします.
元のページ ../index.html#41