3 写真1:図面やスケッチをかきながら考える 写真2:模型をつくって空間を確認する れたレポートにより評価が行われます。レポートでは、目的、目的を実現するための実験計画、計画に従った実験実施、得られた成果を自分の考えで理解した上での結論、という一連のストーリーをまとめることが必要です。皆さんが卒業後、実務においてさまざまな問題にぶつかった時、あるいは、独創的なアイディアを実現させようとする時に、筋道をたてて問題点を明らかにする方法として、実験を行い、レポートを作成する過程について学ぶことは、今後大いに役立つと考えます。 また、建築物の仕上げ材料、温熱環境、地盤の性質、騒音など実際の建築物に近づけたレベルについてはスタジオ演習科目で学びます。 建築設計やスタジオ演習で設計する建築物には、時には地震や強風といった大きな力が加わることがあります。このような時でも建築物は健全であること、あるいは多少の被害を受けたとしても人々には被害をもたらさないことが要求されます。そのためには、想定以上の力が加わった時にどのような壊れ方をするかを学生の時に体験し、観察しておくことが大変重要なのです。 スタジオ演習 スタジオ演習科目は建築工学科のカリキュラムの最大の特徴です。計画・意匠、構造、環境・設備、材料・施工の4分野の縦割りの知識では不十分です。また、近年はBIM(Building Information Method)、コンピュテーショナルデザイン、ロボット、3Dプリンティングなど、従来の建築教育にはない技術が建築分野を牽引し始めています。そこで、スタジオ演習では演習主体で実践的に課題を解き、新たな知識も獲得する学びの場を提供します。 スタジオ演習科目は各科目でテーマを設定しており、学年が上がるにつれて高度なテーマを扱います。スタジオ演習Ⅰ・Ⅱは2年次までの学びをベースにして建築を解く場ですが、スタジオ演習Ⅲ以降では夏期休暇中に行う生産実習での経験も踏まえて、実社会の課題に徐々に切り込んでいきます。各スタジオ演習ではテーマに合わせてバラエティに富む複数の課題を用意しています。学生の皆さんは、自身のキャリアを描き、科目と課題の取り方で学びを主体的に選択し、その選び方により、自分の専門性を拓いていってください。 と労力を必要としますが、費やした時間の分だけ成長することができ、同時に設計することの楽しさが増していきます。そのため、時間や労力を惜しまずに粘り強く丁寧に取り組む姿勢が何よりも大切です。また、実際の優れた建築をたくさん訪れて空間を体験し、よく観察することが建築設計に求められる感性を育む上でとても効果的です。 1年次は、建築図面のトレース課題を通して道具の使い方や線の引き方などの製図基礎を学ぶことから始め、2年次以降の自由設計課題に向けて“建物を計画するいろは”を修得します。 建築実験 住宅から超高層に至るまで、全ての建築物は木材・コンクリート・鉄という3種類の材料の組合せで造られています。建築設計を学ぶ上でも、材料に触れて、その特徴を知ることが不可欠です。 2年生の建築実験ではこれら3種類の材料の基本的な特徴を学ぶとともに、実験データの整理方法、レポートの書き方などを修得します。建築実験は、提出さ
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