2 生産の工程を総括するオーガナイザー、さらには各専門技術を統括するプロジェクトマネジャーとしての能力が必要です。各教科目で学んだ知識を再構成し、「統合」しなければ建築にはなりません。 また、建築は生活文化や美的な価値を創造しなければ、優れた建築や、美しくかつ快適な都市にはなりません。 このような能力は、他者から与えられるものではありません。各自が努力をして体得していくものです。 まさしく日本大学が掲げる自主創造の精神が必要です。学校のカリキュラムは、各自の自主的な創造行為のための索引に過ぎないのかもしれません。学ぶことのできる科目は、建築工学科のみならず、生産工学部の他学科、日本大学の他学部に及んでいます。街にでれば幾多の名建築があります。これらを取捨選択し学んでいく卒業までの学修履歴は、オンリーワンの履歴となります。 建築技術までを学修できるように整えています。カリキュラムの流れはカリキュラムツリー等で示しています。各科目の詳細な内容はシラバスで確認してもらうとして、ここでは建築工学科の専門科目のカリキュラムがどのように構成されているかを紹介します。 専門工学科目 1年生の一般構法、建築史Ⅰ、建築材料Ⅰは建築への重要な導入科目として位置付けています。これらの科目では、鉄筋コンクリート造、鉄骨構造、木造などの構法、建築の歴史、構造材料や仕上げ材料に関する基本的な内容を学ぶ科目ですが、これらと建築デザインとの関わりを概論的に教授し、情熱をもって建築の世界に飛び込んできた皆さんに、建築の学びの魅力を伝えます。 多くの科目は基礎と応用(例:建築史Ⅰが基礎、建築史Ⅱが応用)の2段構成を基本としています。1年次、2年次で、いわゆる計画・意匠、構造、環境・設備、材料・施工の4分野の基本的な内容をおおよそ一通り学びます。3年次以降は建築法規、構造設計、建築マネジメントなど、学びが広く深くなります。 建築設計 2年次まで必修となっている「建築設計」は “建築力”を総合的に修得する科目であり、その目的は単に製図技術を修得するだけにとどまりません。事例建物や敷地を読み解く分析力、要求条件を整理して建物のあり方を提案する企画力、建物の造形や空間の使われ方をイメージするデザイン力、提案の魅力を適切に伝える表現力などが、設計課題によって養われます。 計画、構造、環境・設備、材料の全分野の専門知識が求められる建物設計は、各科目で修得した成果を結びつける役割を果たすことから建築工学科カリキュラムの柱と位置づけられています。特別演習と3年次以降のスタジオ演習を含めた4年間を通して、建築設計の課題は小規模で単純な機能の建物から大規模で複雑な機能の建物群や都市へとレベルアップしていきます。それぞれの課題が次の課題へのステップとなっていますので、一つ一つ着実に修得していくことが求められます。建築設計の課題は、どれも多くの時間Ⅱ.カリキュラムについて 1.カリキュラム構成 建築工学科のカリキュラムは、基礎知識から先端の
元のページ ../index.html#5