1 ② よく見る、よく聞く、よく考える 「建築」という山を登るには、いくつものルートがあります。好きな教養科目を選択して、その知識を持って専門科目を履修することで、より建築の理解が深まることがあります。建築は人間生活の器ですから、建築物を造る側からだけではなく、使う側、発注する側、管理する側からも見ることができるのです。 カリキュラムでは導入的な専門科目が用意されています。建築の専門用語や、建築が出来るまでの工程などを学びます。専門知識を持って建築に接すると、これまでとは違った見方ができてきます。また専門家の卵という意識が芽生えてきます。 ある建築や都市が実現するには、背景となった時代、その時代の風土、社会、環境、用途、様式、構造、構法、材料などさまざまな条件が必要となります。これらの条件を「分析的に観る(観察する)」ことが「専門的な観点から建築を観る(観察する)」ために必要です。そして見聞したことの意味を考え、建築を評価する自分の視点を築いていく作業が始まります。日常見慣れている光景も、見る人の思考いかんによっては、重大な真理や法則を発見する可能性を持っています。 建築を造ることは、人間の営みの場をデザインし更新していくことです。建築とは日常生活の中から何か見つけ出し、それを評価してさらにフォームをリファインし、現代の空間に写し取り定着させる行為でもあります。 ③ 基礎固め 建築は一つの専門分野ですが、幅広く多様にそして高度に展開できるのが建築の世界です。 しかしその基礎と言えば、計画/構造/材料・施工/環境・設備であることに変わりはありません。これらの分野の基礎知識の上にさまざまな展開が可能となるわけです。この基礎的学科目は必修科目として設置されています。まずはこれらの科目を修得してから次のステップに進んで下さい。設計課題も1年生から4年生まで設置していますが、学年順に制覇していってください。しっかりした基礎が必要なのは建物も学問も同様です。 ④ 自主創造 建築するには、建築学の専門知識と技術に加え、建築我々には限られた資源の節約と豊かな生活を両立させ、快適な空間と美しい自然を共存させる義務が課せられています。建築という学問は、人間の生活環境を創造する分野であり、それは家具・住宅から都市空間にとどまらず、それを実現するための建設技術と精神に潤いを与える社会科学・人文科学・芸術学を加えた人文領域から成り立っています。これから建築を学んでいく人たちは、そうした分野を総合的に、しかも学際的に修得していかなければなりません。 これからの時代は、普段何気なく暮らしている人達にも、建築に対する知識が求められます。豊かな生活環境は建築専門家のみが造るものではないからです。ならば将来、建築の仕事に携わることを考えている人達は、いっそう建築の専門知識と工学技術を身につけなければ専門家としての役割は果たせません。 こうした社会の要請に応えるために、生産工学部建築工学科カリキュラムでは、国家資格である一級建築士および二級建築士の受験の要件となる科目を網羅しています。そして創造的に新しい価値を生み出す発想力・応用力・対話力を養成し、課題解決能力を備えた人材を育成していくことを教育の最大目標に掲げています。 建築に関心を持ち興味を持つこと、建築を好きになることが建築を学ぶ始まりです。 建築に関心があるから建築工学科に入学されたのでしょう。その関心は興味に変わっていきます。それにはたくさんの興味深い建築世界の出来事に出会わなければなりません。興味が湧くとそれについてもっと知りたくなります。そこで学修をします。中途で嫌いになって挫折することもありますが、大変な思いをして何かを学び取ると、達成感に浸れます。そしてそれが好きになります。このようにして建築大好き人間になることが第一の目標です。 ある分野のプロになるためには、高度な専門知識・技術・情報を忍耐強く学修・修得する事が必要です。建築のプロになるためには、建築を学ぶ大変さを克服しななければなりません。その大変さが面白くなるということが、建築を「好きになる」ということです。 建築の学び方 ① 好きこそ物の上手なれ Ⅰ.建築工学科について 建築工学科の教育目標
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