建築工学科/学習の手引R7
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20● 総合建設業(ゼネコン)を目ざす人へ ゼネコンは大別すると施工部門と設計部門とがあります。設計部門は、ゼネコンでは施工部門の支援機能を有します。この性格からみてわかるように、いわばサービス機構の一端を担います。設計部門には、デザインの分野と構造・設備等の分野とがありますが、特にデザイン分野は希望すれば誰でも入れるというわけではなく、その人のデザイン能力が厳しく審査されることになるので、希望する学生は自己PRの出来る自信のある作品をまとめた作品集(ポートフォリオ)を準備しておく必要があるでしょう。 施工部門は、ゼネコンの主幹部門に当たっています。人間関係が重視されるため、人柄、リーダーシップが重視され、面接試験が中心になっています。時間的拘束等により施工部門は敬遠される傾向もみられていましたが、近年、就職先として施工部門を目指す学生も多く、また多くの先輩方も活躍しており、総合的な建築技術の実力と知識を身につける上で最も適した分野といえます。 ● 設計事務所を目ざす人へ この分野は将来、設計の能力を身につけた上で、自身で設計事務所を主宰したいと考えている人にとっては最も適した分野です。一般にこの種の事務所は企業として小規模で、経営者(建築家)の個性や思想が所内に行きわたっており、その考え方や姿勢と自分の求めているものがマッチするかどうかがポイントになります。従って、大学への求人に応ずるだけでなく、先輩の紹介、雑誌や作品集等から対象となる事務所を自分で見つけ出し積極的に出向いて、経営者(建築家)の人柄、事務所の雰囲気や作品にふれ、自分の性格等のバランスを考慮した上で絞り込み、選択する必要があります。併せて、就職活動では、自分の作品をまとめた自己を表現する作品集(ポートフォリオ)を用意する必要があります。 設計事務所として一番多いのはデザイン系の事務所ですが、建築設計に関わる業務は多岐にわたり、設計事務所は多様化が進んでおり、積算、構造、設備、音響、ランドスケープ、企画・コンサルタント事務所等、今後益々機能分割化する傾向がみられます。 ● 住宅産業、不動産関係を目ざす人へ 仕事の内容はそれぞれの会社によってかなり異なりますが、住宅産業では、住宅設計、施工、営業といった内容を担い、営業からはじまって、設計、施工管理といった分野までの一貫した仕事を任されるケースが多いようです。いずれにしても接客中心の仕事が多く、人間関係が苦手なタイプの人には不向きです。また、住宅インテリアの分野は、今後女性の活躍が最も期待される分野の一つといえるでしょう。 不動産部門は、本来不動産販売が中心でしたが、最近ではデベロッパーとして街づくり等の大規模な総合プロジェクトを手がけるようになってきています。しかし、それだけに広範囲わたる専門知識が要求されると共に、コンサルタントや企画、マネージメントの仕事が中心になります。 ● 材料、設備関係を目ざす人へ 材料分野は、研究開発とセールスエンジニアが主な仕事になっています。研究開発は学究的な人に向く分野であり、大学院生の就職が多く見られます。 設備分野は、最近の建築では建設費の中に占める割合が30〜70%と極めて大きくなる傾向にあり、また環境共生等の観点からも期待されている分野です。 ● 官公庁を目ざす人へ 希望者は比較的多いものの採用は少なく狭き門になっています。国家公務員になるためには、公務員試験に合格する必要があり、そのために本学部では希望者を対象とした公務員対策講座が毎年行われ、公務員希望者のニーズに対応しています。地方公務員はそれぞれ独自の採用試験が行われていますが、かなり難しいのが実情です。仕事の面では建築の現場に触れるチャンスはあまりなく、デスクワークの行政分野が中心になります。また、採用試験の時期が一般企業より遅い場合が多いので、就職活動を行うタイミング上でずれ込むことがあることも覚えておいてください。 ● その他の分野を目ざす人へ 建築はさまざまな関係分野が多岐にわたり、ますます多様化しています。特にインテリア分野はきわめて多様で、住宅設備、店舗設備、内装、家具、照明等の企業が総合インテリアを目ざしており、今後女性を中心に最も期待される分野といえます。この他、すでに完成した建物の維持管理のための技術、いわゆるメンテナンス部門は、景気に影響されない分野として今後

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