建築工学科/学習の手引R7
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図Ⅶ-1 就職先の業種別割合の推移 Ⅶ.就職 1.取り組みと志望動機 2.最近の就職状況とアドバイス 19報を集め評価して、いくつかの企業をしぼる等の努力が必要です。最近は、企業の求人活動が大変早くなりつつありますから、3年次後半から具体的な就職活動が始まるものと考えてよいでしょう。資料だけでなく、企業について先輩を訪問して内容を尋ねる等の就職活動に取り組む必要があるでしょう。 4年次になってもまだ志望分野について結論が出ないというのでは遅すぎると言えるでしょう。建築の分野は極めて広範囲なため、自らの適性に合う分野が必ずありますので、冷静に評価決定できる時間的余裕と精神的なゆとりを持ってください。安易な考えにより選択することは、自分のみならず周辺に大きな迷惑をかけることになるので注意しましょう。 最近(平成31年度~令和5年度)の卒業生の進路の構成はグラフ(図Ⅳ‐2)に示してあるので、参考にして下さい。 就職に関して、現状(令和7年1月1日現在)の内定者内訳では、最も多い業種は総合建設業(ゼネコン)での施工・設計等で32%、次いで住宅・不動産関係14%、設備関係7%、材料・メーカー等5%、設計事務所3%となっております。その他の8%には、公務員や関係団体等の様々な分野が含まれており、建築を学んだ学生の就職先として次第に多様化する様相を示しています。 なお、女性のみでは約9割が就職希望、その内定者の内訳は総合建設業34%、住宅・不動産関係14%、材料・メーカー等10%、設備関係7%、設計事務所4%、その他5%となっております。 建築工学科を志望された皆さんは、まず「建築」という職能、職業の性格をよく理解してください。「建築」が製造業や商社の他産業と著しく異なる点は、つくられるものがつねに「人」と「物」の両面にかかわりながらつくられることです。「人」とのかかわりについては、直接は建築主や様々な請負業者などの人たちとの多彩な人間関係から始まりますが、背景には人生観や生き方、価値観、社会性といった、人間性を理解する必要性が存在しています。また「物」とは、よい建築をつくるための技術や材料とのかかわりですが、背景にはコンピュータ、ITや新素材等の、先端技術への理解の必要性が含まれています。 今までこうした建築を支えてきた分野は「男性社会」だったわけですが、ここ数年来著しい変化を見せています。社会での女性の持つ役割が理解され、女性でなければ出来ない独自の分野が定着しはじめたことです。これは、専門家としての女性の独自の立場、感性や物の見方が強く社会的に要求されたからにほかなりません。これから社会に出るあなた方の努力と熱意、感性によって、多種多様な分野、新しい領域が開拓されることを自覚する必要があると思われます。 いずれにせよ、建築工学科を卒業したみなさんの職場は受け身なサラリーマン的生活ではすまない世界であって、こうした姿勢で仕事に取り組むと、周囲の人々の迷惑になるばかりか、自分自身をもスポイルすることになることに注意してください。「建築」という職業を人生の伴侶としていくには、どの分野を希望するにせよ、時間的にも肉体的、精神的にもハードなものを要求され、それに耐え得る様々な努力が欠かせないことを理解してください。現状では、就職希望者に対しての求人は、学校推薦と自由応募を合わせて充足していますが、希望職種の求人が必ずしもあるとは限りません。また自分の適性に基づいて企業を選ぶのは早い段階から相当の努力が必要です。過去の例からみても、早い時期に方針を明確にした学生ほど、自分の望む企業に進むことができるというケースが多くなっています。このように、将来にわたる進路決定においては、早すぎて悪いということはありません。 したがって、3年次前半位までに自分が何をやりたいか、何ができるかという自己の適性と意欲をよく見極めるとともに、自己の進路に適した分野をしぼり情

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