環境安全工学科/学習の手引R7
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e-mail:saito.iku@nihon-u.ac.jp - 36 -さいとう いく齋藤 郁助教 博士(工学) 【研究テーマ・概要】 2024年度より日野自動車株式会社から参りました。日野自動車ではディーゼルエンジンの燃焼、および排出ガス後処理分野の研究・開発業務に従事していました。 地球温暖化の抑制や環境汚染の改善には、自動車や航空機、火力発電所等から排出される二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質等の排出を抑制する必要があります。そのための手段として、例えば水素やe-Fuelといったカーボンニュートラル燃料の燃焼技術や、排出ガスを無害化する尿素SCRやDPFといった排出ガス浄化技術が世界中で研究開発されています。電動化以外にも様々な手段が存在しており、多様な選択肢を持つことが重要です。当研究室では、その中でも燃焼技術と排出ガス処理技術を中心に研究を行い、現象の解明および工業製品開発の一端を担うことを目指します。 1.噴霧燃焼の高効率化、およびカーボンニュートラル燃料の燃焼に関する研究 ディーゼルエンジンやガスタービンエンジンなどに広く用いられる噴霧燃焼は、古くより研究がなされていますが、その現象の複雑さ故に、未だに未知の部分が多く残っています。噴霧燃焼を単純化した均一噴霧(自由液滴列)を用いて、カーボンニュートラル燃料の冷炎・熱炎の自発点火や燃え広がり現象の解明を行っています。また、水素の燃焼・自着火現象についても、研究を行っています。 2.排出ガス浄化技術に関する研究 低温酸化反応を使って燃料を改質し、その改質ガスを使ってNOxを浄化する技術について研究を行っています。気相で起こる燃焼反応と、触媒上で起こる触媒反応の両者について、実験およびシミュレーションを使ってアプローチし、モデル化することで、モデルベース開発およびMPC制御などの基礎データ取得を目指しています。 当研究室では,「世界に一つだけの実験装置で、世界初の実験」を目指し、実験装置の設計・製作から実験・計算・解析までを一貫して行っています。 【最近の主な研究論文】 1. Iku SAITO, Hodaka SANO, Hiroshi NOMURA, Yusuke SUGANUMA, Effect of products of low temperature oxidation reaction on NOx reduction in HC-SCR system, Proc. Combust. Inst. Vol. 39 (2023) pp. 4881-4888 2. Iku SAITO, Shogo SHINKAI, Hiroshi NOMURA, Yusuke SUGANUMA, Development of forced cool-flame ignition and detection device for a fuel droplet, Int. J. Microgravity Sci. Appl. Vol. 39 (2022) 3. 齋藤郁,佐藤信也,野村浩司,菅沼祐介,三阪遥, 低温酸化反応を用いた軽油改質技術によるHC-SCRの開発, 自動車技術会論文集 Vol.52 (2021), pp. 955-960 【所属学会】日本燃焼学会,自動車技術会 居室:40号館312室 【専門分野】内燃機関,燃焼,詳細化学反応,排出ガス浄化 【担当科目】 熱エネルギー概論,サステナブルエネルギー工学 など

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