誰もが快適・ 安全・安心な
照明環境をつくるために。

電気電子工学科 内田 暁

誰もが快適・安全・安心な照明環境をつくるために。

電子電気工学科 内田 暁

照明の歴史は人類の歴史

人間の五感である視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の中でも目から得られる情報は約80%以上と言われており、毎日の生活において「ものを見る」行為は必須です。ものを見るためには、適切な明るさや色の源となる光が必要となります。人類の歴史を振り返ると、太陽光以外の光として火を使いこなすことから始まり、その後、電気の誕生と普及により白熱電球や蛍光ランプ、LED(発光ダイオード)などの光源が開発されました。また、光や色は「華やかな」、「美しい」、「楽しい」場面を作り出すことができ、人々の心を豊かにします。このようなことから、光や色をコントロールする照明の果たす役割は非常に重要です。

省エネルギーでエコな光源を使いこなす

照明は我々人間の生活の一部として「いつでも・どこでも」当たり前に存在しています。その一方で照明によるエネルギーの消費は大きく、例えばオフィスでは約30%を占めていると言われており、解決すべき課題の一つです。このような背景から、蛍光ランプよりも省エネルギーで長寿命とされるLEDを利用した光源が、オフィスだけではなく家庭でも急速に普及しています。しかしながら、LEDは蛍光ランプと比べて光の方向(指向性)や強さ、光色が大きく異なります。また、LEDは調光や調色などが手軽に行なえます。そこで、LED光源の特徴を活かした効果的な利用方法を、測光(光の測定)や計算によるシミュレーションにより研究しています。

人間の目が快適な照明を導く

人間の目は明るさや色を知覚するセンサーとも呼べる視細胞が働いており、光の色や強さによって食べ物が「美味しく」見えたり、部屋の雰囲気が「暖かい」または「涼しい」と感じることができます。一方で、視細胞の働きが不完全であると色を見分けることが難しくなり、色を手がかりとする作業がしづらくなります。また、人の顔は照明(光源)の種類や照射する角度によって「明るい・暗い」はもちろんのこと、「はっきり・ぼんやり」、「立体的・平面的」、「やわらかい・どぎつい」など見え方が大きく変わります。そこで、人間の目で見た光の印象や色の評価を考慮して、快適な照明環境(視環境)となるための研究をしています。

日常生活において暗い場所で「電気をつけて」と言えばその場が明るくなるように、照明は電気の代名詞かもしれません。しかしながら、照明工学は電気工学や電子工学だけではなく、心理学、生理学、建築学、情報学など理系・文系を問わず幅広い分野の知識を含んだ、学際的で興味深い魅力的な学問です。私が専門としている照明の研究は、様々な研究手法や多くの分野の知識を駆使し、ものづくりやコミュニケーションの場面に対して「明るい」や「見やすい」だけではなく、
「快適」、「安全」、「安心」な照明環境(視環境)をつくることで生産工学に貢献できます。

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